【第10話】 ページ11
断るにも断れず、トド松くんに保健室まで送ってもらうことになった。
お互い無言のまま歩いていればあっという間に保健室に着く。
トド松くんがドアをコンコンと二回ノックすると「失礼しまーす」といってドアを開ける。
中へ入るもそこには誰もおらず時計の秒針の音だけが静かに響いていた。
あー…とりあえず先生来るまで寝てよ。
此処まで付き添ってくれたトド松くんにお礼を言おうと振り返る。
『ここまで送ってくれてありがとう…』
トド「Aちゃんってさぁ…
つい最近“死神”に会ったよね？」
思いもよらない言葉に耳を疑った。
ついさっき教室でみたあの冷たい笑みを浮かべながら放った言葉は、実に簡単に私を動揺させるもので。
『ご、ごめん…何を言ってるのかわからないや。』
今すぐこの場から逃げ出したい衝動を抑えて、必死に落ち着いているフリをする。
が、それは相手にはなんの意味も成さず。
トド「ふふっ、嘘ついても無駄だよ。
だって君からすっごい死神の匂いがするもん」
死神の匂いってなに！？
初耳なんだけど！
声に出して叫ぶ訳にもいかず、心の中でこれでもかというくらい思いっきり叫んだ。
恐らく今私の家で寝ているであろうおそ松に向けて。
え、ていうか何？
死神の匂いとやらがわかる目の前の人は一体…何者？
『もしかして…トド松くんも死神、なの？』
私が問いかけるとニヤリと口角を上げる。
…嫌な予感しかしないのだけれど。
トド「僕はね、」
一歩。
また一歩と私に近づいてくる。
後ずさりをすれば背中に当たる堅い感触。
……壁に追い詰められた。
行き場を無くした私の顎をクイッと持ち上げられ互いの視線が一直線にぶつかる。
トド「吸血鬼なんだ」
そう言って首筋に顔を埋め、カプッという嫌な音と共に鋭い痛みが私を襲った。
『いっ…！！…たぃ……っいたい
トド、まつくん…！』
肩をどかそうにも私の力ではびくともせず、せめてもと声を振り絞って抵抗するがやめてくれる様子は一切ない。
ただでさえ最近また眩暈がよく起きるようになったのに、加えて貧血とかホント笑えない…。
あぁ、ほら早速眩暈がしてきた…
チカチカと目の前が点滅し始め、フッと意識が落ちた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 43人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
サクラ - 更新楽しみに待ってますので戻ってきてください！おねがいします！ (2018年2月15日 18時) (
レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
玲紋 - 気になります！続きが！応援してますね! (2016年3月21日 1時) (レス) id: eee74b7045 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ももももっち。 | 作成日時：2016年1月10日 23時
