side I ページ41
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直近のスケジュールが出て、すぐに予定を確認をした俺は山田に休みを伝えに行った。
だけど山田は気まずそうに目を泳がせており、そして案の定俺は山田に断られてしまったのだ。
仲直り出来たと思っていたのは間違えだったのだろうか。あの日以来、仕事で会う時も決して会話は多くないがまた前みたいに戻ることができたと思っていたのに。
「伊野ちゃんに聞きたいことがあるんだけど…」
『どうしたの…?』
JUMPでの仕事が終わり、俺たちは楽屋に戻る途中だったところを、知念に呼び止められて、空き部屋に通された。
「伊野ちゃん、最近涼介から何か貰ってない?」
『このネックレス貰ったけど。』
「ヒカがね、最近伊野ちゃんは好きな人からプレゼントを貰って喜んでいたって言ってたんだ。」
『え…、光そんなこと言ったの?』
光のやつ、何言ってんだよ。
俺の話を俺がいないところでするなんて。
知念の核心をついた言葉になんて言い逃れをすればいいのか言葉が見つからない。
「うん、でもヒカは決して伊野ちゃんの好きな人は涼介だなんて言ってないから安心して。」
『…うん』
知念は何が言いたいのだろうか。
山田を変な道に連れて行かないで、とか山田は男だよ、とか軽蔑な言葉を投げかけるのだろうか。
知念がそんなこと言うヤツではないと言うことは知っているが、怖くてどんどん声が小さくなってしまう。
「そんな暗い顔しないでよ。僕は伊野ちゃんから貰ったヒントで当てたんだよ?」
『俺…?』
「好きな人はキレイで普通な人。そしてJUMPの誰にも言ってはダメで恐らく僕が知ってる人。」
『…』
「そしてヒカからの思わぬヒントで伊野ちゃんをちょっと嵌めてみました。」
知念は俺の好きな人の話を聞いてから既に予想はついていたということ。
ただ、俺が言った「普通」とは山田に当てはめた言葉ではなく、当たり障りなく伝えるための手段のつもりだったのに逆にそれがヒントになってしまったとは思いもよらなかった。
『…俺の負け。知念、こえーよ。本当すげぇ。』
知念の顔はクイズに成功した喜びは見えるが、俺の気持ちに対して不快な表情は一切していないように見えて俺は降参した。
「そっか、そっか、伊野ちゃんの好きな人は涼介かぁ。あっ、誰にも何も言わないから安心してね。」
『なぁ、俺のこと引かないの…?』
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ゆっけ(プロフ) - 雪さん» コメントありがとうございます。拙い作品ばかりの中、全作品読んでいただきありがとうございました。次回作も読んでいただけるよう頑張ります!ありがとうございました。 (2018年11月26日 20時) (レス) id: 6c38319326 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - ゆっけさん、完結おめでとうございます。とても大好きな作品でした。全作品とても大好きです。またやまいのに出会えることを心から楽しみにしています。 (2018年11月24日 21時) (レス) id: 15bd49f13c (このIDを非表示/違反報告)
ゆっけ(プロフ) - けーとさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけたようで本当に嬉しい限りです。次回もけーとさんに楽しんでいただけるか分かりませんが、またお会いする機会がございましたらよろしくお願いします。 (2017年11月19日 23時) (レス) id: bdab3378d2 (このIDを非表示/違反報告)
けーと(プロフ) - 完結おめでとうございます!いっつも楽しみに読ませていただいてました!!ものすごくどきどき、ハラハラしました!また、他の作品でも期待してます! (2017年11月19日 17時) (レス) id: 2633a3dd45 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっけ(プロフ) - 翠さん» コメントありがとうございます!本作品を楽しんでいただけて嬉しい限りです。拙い文章ですがやまいのの今後を楽しみにしていただければ幸いです。私も翠さんの作品更新を楽しみに待ってます。 (2017年10月30日 21時) (レス) id: bdab3378d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆっけ | 作成日時:2017年8月11日 0時