花火大会 6 ページ6
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「...ここ?」
「ん。小さい頃、この近くに親戚が住んでてさ、よく遊んでたんだ。すげぇんだぜ、ここ。
花火、ばっちり見えんの。
でも、もう少し奥に行った方がいい。
ここだと、そんなに多くはないけど、この近所の人たちが見に来るからさ。
それに何気にそっちの方が開けてて見やすいっつうか...とにかく何かすっげえんだ。」
何だか曖昧なことを言いながらそう親指で指さすと、その公園の奥の方に向かう。
一瞬、沢山の木々の中に潜り込んだかと思えば、直ぐに若武の言う通り、突然視界が開けてはっと息を呑んだ。
だって...とっても綺麗だったんだもの。
思わず、そこにあった柵まで駆け寄って下を見た。
屋台の光で煌めき、ゆらゆらと楽しげに揺れる沢山の人々。
上を見上げれば今度はいつの日か見たような満点の星空。
散りばめられた星たちがまるで宝石のようにキラリと光っていた。
「...すっげ」
「...だろ?俺も初めて来た時、マジ感動したもん。」
少しの間、みんなで黙ってその景色を堪能した。
そして、ゆっくりと柵から身体を起こすと若武が静かに 黒木 と呼んだ。
それを合図に私たちも黒木くんのほうに向き直って微笑んだ。
「おめでと、黒木!Happy Birthday」
「おめでと。」
「おめでとう、黒木くん!」
次々とみんなで祝福の言葉を挙げる。
そんな私たちを見て黒木くんはふわりと柔らかな笑みを浮かべた。
「ありがとう、みんな。嬉しいよ。」
とその瞬間。
ドーンッと大きな音が響き渡る。
パッとみんなして上を見ると夜空に綺麗な花が咲き誇っていた。
うわぁっ!
思わず声を上げながら見とれる。
パシャっという音が聞こえて、チラっとそちらを見るとスマホで花火を撮る小塚くんの姿。
...いいなぁ、スマホ。
私も花火、撮りたかった。
今更ながらスマホではなく時計を買ってもらった己の間抜けさを噛み締めながら、小さく溜息を零した。
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名無し - セダムさんのbirthdayシリーズ、大好き!これからも頑張って! (2019年8月15日 19時) (レス) id: ca44c89321 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - なんなさん» ありがとうございます(^^)黒木くんのお話、色々考えてみますね! (2019年8月15日 17時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
なんな - もう、最高!!黒木くん、大好き!他の話もどんどん書いてください! (2019年8月15日 17時) (レス) id: 9359a1f9be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セダム | 作成日時:2019年8月15日 0時