起きたら翼が生えてた【MHA】 (ページ2)

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夏休みに入って数日、なんの思い出を作るわけでもなくただ生きていた。

『あっつい...』

エアコンの付いていない2階から1階へ降りると、涼しい風が頬を撫で、母がソファーに座っているのが見えた。

「相変わらずよく寝るねえあんた」

『んー』

ぽりぽりと頭を掻きながら自分もソファーに座る。用意してもらった麦茶を飲みながらボケーっと窓の外を眺める。

相も変わらず今日も快晴で、蝉のうるさい声しか聞こえない。

まあここは田舎だし当然と言えば当然だろう。

『空......』

───空に羽ばたけるし、海でだって飛べるわ！

『...お母さん、人間て空飛べるの？』

「はあ？飛べるわけないやん」

馬鹿じゃないのあんた、と呆れられてしまった。

...まあ当たり前か。

やっぱり彼女が言っていたことは夢にすぎないんだな。

...少しだけ、残念に思う私がいた。

「A、どうせ暇やろ
牛乳と麦茶買ってきて｣

『ええ...』

こんな暑いのに、と言おうとすると母は財布をゴソゴソと探り出した。

拒否権なしってことね...。

「ほら、1000円あげるから」

『いきます』

私は素早くお金を受け取り外へと飛び出した。

...1000円は大きい。