ひーろー。

side ヒーロー ページ35

「...喧嘩、してたのか、」




イム チャンギュンの、そんな声が聞こえた。

...が、今はそれより。



『どうです？許してもらえないのでしたら力ずくでやってしまいますけど』

「わ、わかった、わかったから！殴るのだけはやめてぇ！！｣

『よかったです、すぐ了承してくれて
...それだけじゃありません、二度と関わらないで』


私はそう吐き捨てて背を向けた。




『...帰るよ』


私が普通にそう言えば、2人は静かに頷いた。




＊


『あーすっきりした！
よかったね、これでやめれるじゃん』

「あ、うん.....」


イ ミンヒョクは歯切れの悪い返事をした。

さっきの事が気になってるんだろうけど、別に教えるつもりはないし。


スマホを確認すると、カトクの通知が20件。

...いや、キヒョンくん心配性すぎよ。





「...あの」


スマホを眺めながら笑っていると、イム チャンギュンが口を開いた。


「黒猫...って、ほんとですか」

『うん、本当だよ』

「...どうして、」

『やだ、教えてあげない』

「は？」


そんな簡単に教えていいことではないと思ってるからね、これは。




『もっと仲良くなったら教えてあげる』


そう言えばイム チャンギュンはチッとあからさまな舌打ちをする。




それを見て私は逃げるように帰宅した。

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