カラ松の彼女！？番外編

喧嘩松！ ページ3

俺は六つ子の次男、松野カラ松。俺達六つ子といえば、在籍している赤塚高校では赤城美咲と並ぶ有名な不良だ。別に世間一般では褒められたことではないのだろうがな。

俺は学ランのポケットに手を突っ込んで早歩きで歩く。


『やっ、やめてくださいっ！』

「…ん？」


不意に、迷える子羊の心地よいソプラノ声が耳に入る。路地裏の方か。…カラ松ガール、今いくぜ。

暗くて少し見えにくいが、一人の女の周りに複数の男が囲んでいたのが見えた。
あの制服……隣の不二夫高校のやつらか。その内の一人が彼女に手をあげようとしていたので蹴りをいれる。
俺に気付いた男が襲いかかるが、全員返り討ちにした。


数分で片付け、俺はガールに声をかける。


『あ、ありがとう、ございます…』


顔を上げ、礼を述べたその子の顔は、声は、表情は俺の心臓を掴んだ。セーラー服が眩しい。確か、あれは有名な女子校の制服ではなかったか。

ドクン、ドクンと鼓動が鳴る。

その瞳や表情がキラキラと輝いていたのは、差しこむ太陽の光などではないことに俺は気がついている。


『……あの？』

「あ、いや…無事ならそれでいいんだ」


少しの間固まった俺を気にかけるように声をかける彼女。それがとても可愛くて、ずっと聞いていたいような……


「う…うぉおおおおおお！」


そこまで考えてしまった俺は堪らなくなって走って逃げ出した。

顔熱い。胸が苦しい。

俺がこの気持ちに気づくまで、そう時間はかからないだろう。




『何だったんだろう……でも、お礼したいし、また会えるかな…』

「何で逃げたんだ俺…！クソ、トド松みたいに気軽に話しかけられたら…」

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