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「仲間が居なくても、1人で全て薙ぎ倒せるって?」

「そうだ。僕は…ナンバーワンなんだ。」


まるで呪文か何かのように、そう呟いた。
…きっと、ヒカルは今まで1人で戦ってきたんだろうな。だからこその、この台詞だろう。

……どうやら今は考えを改めさせることは無理そうだ。


「…そう。…ごめんなさい。少し熱くなりすぎた。」


素直に謝ると、ヒカルは少しだけ困惑したような顔を見せた。
…どうしてかな。


「(…気が強そうに見えていたから、謝られるなんて思ってなかった。…僕も、カッとなりすぎたか…。)」


そんなヒカルの心のうちなんていざ知らず。
リュナは心配そうにヒカルの顔を覗きこんだ。


「…どうして困った顔をしているの?」

「……してた…かな…。」

「してる。どうして?」

「…いや、気のせいだろう。…僕も熱くなりすぎた。すまない。」


え、……えぇ??プライド高そうなヒカルが謝った…?素直にそう言われて困惑した。

…もしかしてヒカルの困惑の理由は、私の今の感情と似ているものだったのかもしれない。
私もプライド高そうに見えてたのかな。

ハルキたちの方はハルキたちの方で説教が行われているのを今更気付きながら、気持ち小声で少しだけ話を続けた。


「…ごめんね、あと少しだけ聞いてくれる?」

「……あぁ。」

「ありがとう。…仲間が、大切だって私は言ったけど……その人たちが傷ついてから…失ってから大切だったって気づいても、もう遅いの。…だから、早めに大切な仲間を見つけて、その仲間を守ってあげてね。」

「………。」


…少し、内容が重かっただろうか。
そう思いつつも私の口は止まらない。


「ヒカルなら、きっと守れるから。貴方は今よりもっともっと強くなれる可能性を秘めた人だもの。…私は一度、大切なモノに気づけなかった。だから、次はもう絶対に失ったりしない。…もう、後から泣くのはイヤだから。」

「…君は、一体…。」


不思議そうに問いかけてくるヒカル。

一体…何者か、そういうことだろう。
そりゃあこれだけ意味深なこと言っちゃうと普通じゃないよね。

じゃあ敢えて。


「バケモノよ。人間の心と身体を持っているだけの、感情が抜け落ちた醜いバケモノ。何にもわからない欠陥品が私なの。」


あの人たちが大切なものだったと気づいたのはいつだったか。

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FenGkaz710(プロフ) - 更新待ってます! (2020年6月9日 18時) (レス) id: 760679ded1 (このIDを非表示/違反報告)
鏡音羅美(プロフ) - 更新頑張ってください! 応援してます! (2019年1月23日 23時) (レス) id: d15564b850 (このIDを非表示/違反報告)
ベル - フェアリーの会話が独特で良い、サイコスキャディグモード?がいいし主人公の苦しい過去も読みたいです (2018年8月16日 19時) (レス) id: 1190295a12 (このIDを非表示/違反報告)
自宅警備員 - 続きが気になります。更新頑張ってください。 (2017年9月15日 21時) (レス) id: 124b1853e4 (このIDを非表示/違反報告)
藍色水晶 - 元藍玉です。作者名変えました。藍玉さんいつの間にか増えてたので藍色水晶で今度から行こうと思います。 (2017年6月1日 20時) (レス) id: 37f8d8a89e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:藍色水晶 | 作者ホームページ: なし  
作成日時:2014年9月7日 21時

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