プロローグ ページ1
流される。ゆらり。
木製の簡素な船。罪人らしき結末よ。
「空が綺麗だ」
乾いた笑いも潮風に消されるか。あわれ。
もし、願いが叶うなら。こんな結末をどうか遠ざけたい。
ああ……。あわれ。
/
「先輩、起きてください!」
「フォーウ!!」
今日はアラームじゃなくて、マシュとフォウの声と揺さぶりで目が覚めた。
「おはよ……どしたの?」
目を擦りながら焦り気味の表情のマシュに問いかける。
「次の特異点が発生しました。場所は十七世紀の日本。原因は不明ですが至急ダ・ヴィンチちゃんに呼び出しをするように頼まれました」
「突然だなあ……むにゃむにゃ」
「とにかく来てください、目標時間を大幅に上回る睡眠時間でした。外で待ってます」
/
「やあA君。今日は本来なら休みだったんだけどね、そううまくいかなかったようだ。今回の特異点はマシュからも聞いた通り日本だ。時代的には17世紀あたりだろうか。Aくん、歴史の授業だ。1600年、美濃国で行われた歴史に残る大合戦といえばなにがある?」
管制室につくやいなやダ・ヴィンチちゃんから歴史の問題を出される。1600年? 大合戦? ……桶狭間しかわからない……。
「桶狭間?」
「違う! 似てるんだけどね。答えは関ヶ原の戦いだ。」
あー間違えた。まぁ私起きたてほやほやだしいつもなら答えてるでしょ。そういって心の中を落ち着かせる。
「豊臣秀吉死後の派閥争いで徳川家康を中心とする東軍と毛利輝元石田三成らを中心とした西軍の戦いですね。ダ・ヴィンチちゃん」
「流石はマシュ。A君も、寝ぼけたままでも関ヶ原の名前くらいは言えるようになりたまえよ!」
管制室には早朝であるのにも関わらず多数のスタッフがいた。そこで指揮をとっているのはロマニ・アーキマンことドクターロマンだ。多忙ゆえロマンはこちらに来ようともしない。
「それでダ・ヴィンチちゃん、次の特異点は関ヶ原でしょうか?」
「その通り。現在特異点の情報をスタッフ総出で調べているがその謎は大人の都合で未だ謎に包まれている!」
「そ、それはもう既に原因が解明しているということでしょうか」
「いいやまだだ! 一応エネミーのデータは控えている、その他の地形に関する情報はA君やマシュがレイシフトしてから随時送信しようと思う。マシュ、今回もよろしく頼むよ」
歴史の教科書界の大御所にレイシフト、か……
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作者名:よろず/串刺しゴリラ饅頭 | 作成日時:2018年1月6日 11時