北の国では2［ゴールデンカムイ］ (ページ48)

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92話ページ48

海賊「可愛いな」

顎をもたれて海賊と目が合う

『な…なんだ、そんな…可愛いなんて…え、えへへ…//』

杉元「騙されるなA！」

白石「離れろAちゃん！」

『は、話を逸らすな！アイヌの隠し場所、知ってるんだろ！』

顎を持たれた手を振り払って一歩下がる

海賊「…確かに埋蔵金に近づくことは出来るが、近いからって簡単に見つけられるような場所にのっぺら坊が隠すとは思えねえ。だからよ、手を組まねえか？」

海賊が白石と杉元の肩を組む

海賊「白石は面白いから好きだったんだよなぁ、杉元みたいな強い男はもっと好きだ。Aみたいな強気な女も」

こちらを見て微笑みかけてくる

白石「モメるぜ〜分け前で」

海賊「上級の家臣はどうだ？俺の国の」

杉元「また訳のわからんことを言うやつが現れたな」

海賊「どこか暖かい東南アジアの小さな島で俺は王様になる！！果物作ってよその国に売って、通貨には俺の顔が刻印されたりな！！Aと子どもをたくさん作って俺の家族の国を作るんだ！いいだろ？」

『なんで僕なんだよ』

海賊「俺の妻にしてやる」

『嫌だ』

海賊「照れてるな？」

『照れてない』

杉元「それはダメだ」

海賊「あ？嫉妬か？」

杉元「違う！そんなんじゃなくて！」

海賊「じゃあなんだ？お前も家族が欲しいのか？家族いないのか？兄弟も？孤児か？捨て子か？」

杉元「うるっせえ質問野郎だな、ズケズケと」

海賊「どのみち終点の江別まで逃げ場はないんだから、お互いもっと知り合おうぜ」

杉元「俺が興味があるのはお前の持ってるアイヌの情報だけだ」

海賊「ひょっとして家族全員殺したとか？」

『おいお前、それ以上口を開いてみろ。僕がお前を許さない』

杉元「いいよA、結核だ」

海賊「じゃあわかるだろ？俺の家族も全員疱瘡にやられたんだ。地元のみんなが俺と俺の家族を疎んで…誰も話しかけてくれない、触れてもくれない、故郷に居場所はなくなった。だから子供心に思ったね。俺の国を作れば誰も俺を追い出せないって」

白石「王様ねえ…」

海賊「夢を持って前向きに！いつ自分が疱瘡にかかるか怯えて暮らすのは止めにしたのさ。そのお陰か俺だけは感染しなかった！気持ちで跳ね除けたんだな！」

笑いながら海賊

海賊「金塊を見つけたら、杉元は自分の幸せのために何をするつもりだったんだ？何か夢はないのか？」

杉元「……」

戦争中に杉元が僕に話してくれた
杉元の昔話

『………』

僕は杉元の顔を見れなかった