北の国では2［ゴールデンカムイ］ (ページ40)

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過去編2 ページ40

杉元が相手の兵士を薙ぎ倒していく

あの猛獣を止めようと3人の敵兵が同時に襲い掛かっている

『30メートル』

僕はそのうちの一人の頭を撃ち抜いた

残りの二人を杉元が殺す

旗手が一気に前進する

それに合わせて杉元も動く

日本兵が相手の堀に入ってロシア兵を襲っていく

『杉元、生きてるか』

杉元「ああ、なんとかな」

僕も堀に到達

一人のロシア兵の喉を後ろから銃剣で斬り裂いた

地面を見ると転がった死体の山

『この辺全部杉元がやったのか』

杉元「……」

『……』

杉元の顔が強張っている

杉元「…行くぞ、まだ兵士が残ってる」

先を走り出した

僕も弾を込め直し後に続く

ピン…

『！』

後ろで手投弾の栓を抜く音がした

素早く振り返ったが

宙に浮いた手投弾が

目の前に…

手が勝手に動いた

小銃を構えたがこの距離で手投弾を撃っても間に合わない

せめてあの兵士を

杉元「A！！！！！！！！」

***

杉元「A…！！A…！！！」

体が揺れている

『すぎ…も、と…』

杉元「A！！痛むか！？もう少しの辛抱だ！」

『……僕を、置いて行け』

杉元「大丈夫だ！！心配するな！すぐに手当してやるから！！」

額から左側の頬まで裂けている

顔を触ってわかった

首元も切れたのか

頭が回らない

ただ身体を杉元に預けて、戦場から離れていく

少しすると日本兵が拠点とするテントまで運ばれた

杉元「包帯を！！あと水と布もくれ！！」

「ちょっとまて！」

杉元「早くしろ！！遅えんだよ！！」

僕は担架に乗せられ天井を眺める

目にまで血が入っているのか視界が不良になっていく

杉元「痛むぞ、我慢しろ」

水のついた布をそっと傷跡に当てる杉元

『痛っ…』

杉元「Aは死なせない！！俺が絶対助けてやる！！」

出血多量の所為で意識が朦朧とする

そのまま夜まで寝てしまった
医療班の話によると、そのまま杉元は戦場に戻ったらしい

『ありがとうございました』

「女性が戦場にでることはない」

「そうだな、顔に傷がついては貰い手がいなくなる」

杉元「俺がいるから大丈夫だ」

外から入ってきた人物は

全身血に塗れ、いろんなところに切傷をつくってた

『杉元！！よかった、生きてたんだな…！』

担架から降りて杉元に抱きつく

杉元「…それはこっちの台詞だよ、元気そうでよかった」

その場は勝利を収めたようだ

僕たちは何ヶ月ぶりに兵舎に戻った