北の国では2［ゴールデンカムイ］ (ページ23)

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72話ページ23

鯉登少尉の顔を蹴り上げ外へ出ていった

鯉登「A、しっかりしろ！」

よろよろ立ちながら僕に向かってくる鯉登少尉

『だ…大丈夫です…、それより…尾形さんを』

鯉登「外には杉元がいる」

顔が痛い

鼻血が出てる

頬が熱をもってる

涙が伝った

『鯉登少尉っ…僕は…尾形さんを、止められませんでしたっ！！』

鯉登「……Aがアイツを背負う必要などない」

『兄のように、慕っていたのは…僕だけだったようです…』

ボロボロ落ちる涙を

鯉登少尉が拭ってくれた

鯉登「アイツはそういうやつなのだ」

僕の体が浮いた

鯉登少尉が抱えてくれているんだ

病院から出ると杉元が駆け寄ってきた

杉元「大丈夫か！？A！！」

『うん…平気』

杉元「俺はAが一発殴り返すまで尾形を殺さない」

『え…？』

こちらに笑いかける杉元

杉元「やられっぱなしじゃあ、悔しいでしょ？」

ああ…

また君に救われるのか

『ありがとう…杉元…』

杉元「さあ、北海道へ向けて出発だ」

行く前に医者に僕の顔を手当してもらった

***
犬ぞりに乗って南下する

途中樺太アイヌの集落で休ませてもらった

白石「おばあちゃん何作ってるの？酒のつまみなら大歓迎だぜ」

水を吸わせた米を口に含み、口で砕いて吐き出す

それをこねて焼いた

全員その動きから目を離せなかった

杉元がゆっくりそれを食べる

白石もそれを見て食べた

相当美味かったようで婆ちゃんに擦り寄ってせがんでる

白石「ねえねえおばあちゃんのお団子もっとちょうだい〜？」

杉元「おばあちゃん〜もっと作って〜？」

酔っ払っている…

『僕も酒をもらおうかな』

杉元「飲んじゃえ飲んじゃえ！」

杉元についでもらった

久しぶりということもあり一気に酔いが回る

『尾形さんっ…僕を置いてかないで！！ヒンッ！！兄様ぁあ！！///』

杉元「大丈夫、俺がAの兄様になってやるぅ！泣くな妹ぉ！！///」

『杉元は兄様には見えない！！///』

鯉登「では私を兄のように慕うがいい」

『失礼ですが鯉登少尉は兄というより弟のように思います//』

鯉登「おとっ…」

僕は立ち上がって鯉登少尉の横に座る

『音之進、いっぱい怪我して痛かったねえ//』

手を伸ばして頭を撫でる

鯉登「なっ…！？///」

頭に伸ばした手をそのまま胸に引き寄せる

『頑張ったなあ音之進…//』

鯉登「………これも悪うなか//」

杉元「離れろボンボン！俺ですら下で呼ばれたことないのに！！」

鯉登「フン」