北の国では2［ゴールデンカムイ］ (ページ22)

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71話ページ22

『尾形さん、医者が来てくれましたよ』

返事が返ってくるわけでもない

月島さんと医者はロシア語で話している

月島「病院の方が機材が揃っていると言っている」

鯉登「ダメだ、ここでやれ」

『鯉登少尉、病院へ連れていってください』

鯉登「ダメだ」

『僕は尾形さんと話さなきゃならないことがあるんです！』

杉元「わかった運ぼう」

鯉登「おい杉元、いい加減に！」

杉元「尾形には色々聞くことがある、まだ死なせない」

鯉登「…」

月島「ロシア軍に通報すればせっかく治療したのが無駄になるだとさ」

尾形さんをソリに縛り、落ちないように固定する

犬ぞりに乗り込み、医者の病院まで行くことに

***
医者が中で治療をしてくれている

僕たちは外で待っていた

『出てきた…尾形さんは！』

ロシア語で医者は何か言った

エノ「もうすぐ死ぬって」

『そ…』

そんな…

医者が中に戻った

僕は後を追いかけた

鯉登「おいA！」

外で鯉登少尉が叫んでる

『尾形さん！』

病室に入ると台の上にいなかった

『……』

後ろでハサミを背中に突きつけられたのがわかった

尾形「A」

『尾形さん…』

尾形「こんなところまで来て…金塊戦争からあがれと言ったはずだ」

『僕は…尾形さんを止めるためにきた』

尾形「……もっと致命的な場所を撃つべきだった」

『尾形さん！僕は！』

振り向くと目の前いっぱいに尾形さんの蹴り上げた足

『ぐっ…！！』

壁まで吹っ飛ばされた

その音を聞いてきたのか

医者が入ってきたが、顔面を殴られ床に倒れてしまった

『尾形さん…、もうやめてください…！』

尾形「A、俺はお前が親と兄を殺したと聞いた時、分かり合えると思っていたよ」

『！』

尾形「Aは俺と同じだ」

口角を上げて不気味な笑みを浮かべた

『………』

絶望なのだろうか

言葉を失った

ゆっくりと立ち上がった僕の顔面に拳を喰らわせた

壁に頭を打ち付け脳が揺れた気がした

体が動かない

その後、入ってきた女性を人質に戸の裏に隠れた

杉元「A！？大丈夫か！？尾形が逃げた！！」

僕に近寄った杉元は、すぐに尾形さんを探しに外へ出ていった

鯉登「A！！」

次に入ってきた鯉登少尉は僕に近づき、抱え上げてくれた

『少尉…、後ろ…』

鯉登「後ろ？」

振り向きながら拳銃を構えた

尾形さんがロシア語で何かを伝えると、医者が鯉登少尉を殴った

落とした拳銃を拾い、倒れた鯉登少尉の頭に突きつける