Cor Leonis et Mare (ページ48)

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45＿舞咲優陽ページ48

「Aー」
「どうされました？」

荷造りの為に自室で片付けをしていた。
少し用があって談話室に降りると、お兄様がクィディッチ用の箒を手入れしていて、寮の人は全員が出払っていた。

「お前、クィディッチチームに入るつもりはない？」
「え...？」

お兄様はクィディッチチームのビーターというポジションをしている。
ビーターには腕力や体幹など、さまざまな面においてなかなか難しいものだと以前熱弁していたのは記憶に新しい。

「だって、Aはいろいろ詰め込みすぎるだろ？勉強も、我が君のことも、シリウスのことも、将来のことも...たまには、息抜きが必要なんじゃないかと思ってな。ちょうど今年で俺と同じビーターの人が卒業して、空席になるんだよ。もしAが良ければ、一緒のポジションを兄妹でやれたら楽しいだろうな...って。」

お兄様は本当にクィディッチを愛してるのね。

「でも、淑女たるもの、そんなスポーツは...」
「事前に父上と母上、レギュラスには確認を取っている。父上は、『確かにAが詰めすぎだとは思っていた。もし、クィディッチがもっとAの負担となるのなら、それは賛成できない。だが、適度な息抜きになるのなら、私は賛成する。存分にやらせてあげなさい。』とおっしゃっていたし、レギュラスも『クィディッチをやるAは、素敵でしょうね。』と言っていたぞ。」

「お兄様...」

こんな時は行動が早いのだから...

「もちろん、選抜は受けてもらう。だけど、2年から、あのポッターもチームに入るんだろう？コテンパンに負かせるチャンスじゃないか。」

そうだわ。
私がチームに入れば、あの駄眼鏡を合法的に倒せるじゃない。

お父様もお母様も、レギュも賛成してくれているのなら、私は...

「分かりました。挑戦してみます。」

そう言うしかないわよね？

☆★☆

「シリウスっ！大人しくして！家に帰るわよ！」
「嫌だ！俺はあんな家なんか帰らない！ジェームズの家に行くんだっ！」
「わがまま言わないの！このプロキオン(小犬)！」
「シリウス(大犬)だ！」

クリスマス以来の追いかけっこに、ホグワーツの人々は生暖かい目を向ける。
そんな追いかけっこを制したのは、やはり学年主席のAだった。

...否、それは少し違うのかもしれない。

「ロコモーター・モルティス！」
「ってぇ！おい！杖を使うのは卑怯だろ！」
「私じゃないわ！」

「私よ。」

Aのソプラノとは違う、アルトが響いた。