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黒い角皿に肉片の串刺しが乗っている。
ワインレッドのそれは油と特製ダレでてらてらと艶かしく光り、食べてくれと言わんばかりに芳ばしい湯気を立ち上らせていた。
焼き鳥といえば、ココロだろう。
「っ!おいひー!」
一口一口噛み締める度に口に広がるなんとも言えない芳醇さがたまらない。
レバーとはまた違った濃厚な肉はまるで人の禁断を侵しているかの様な興奮がふつふつと湧きあがらせるだ。
そして合間に挟むビールがまた空腹の胃にじんわりと染み渡り、思わず「くぅ〜っ」なんて声が漏れてしまう。
「おっさんかっ!」
「おっさんだな」
「ふんっ、班長と一等の方がおっさんなクセに」
ふいっと顔を背け残っていた肉片を頬張ると、やっぱりふにゃりと顔が緩んでしまう。
「どんだけ内臓好きなのAちゃん」
「もうほんと美味しくてしょうがないっ」
「それにしても、もうAちゃんも23かー...」
「ちょっ、一等!普通に暴露しないでよ...」
それからはブツブツと結婚だの独身だのとナーバスに突入した一等を無視し、チラッと隣に座る班長に視線を移すと、
相変わらずお酒に強いのだろう全く変わらない顔色で4杯目のビールを注文するところだった。
「班長何かあったんですかぁー?」
「いや、呑みたいだけだ」
「珍しい...」
やはり見た目と比例して寡黙で真面目な班長がこんな速いペースで呑むのは珍しい。
まあいいか、気を取直して首皮を2本チョウチンを1本追加注文すると私は化粧室へ腰をあげた。
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翠雨 - 綺麗な表現で素敵だと思いました。平子さんいいですよね! (2018年9月17日 10時) (レス) id: cf1baa01ef (このIDを非表示/違反報告)
駄郎(プロフ) - 恋は難しいさん» ぁぁぁぁぁぁありがとうございます!!!。゚(゚^ω^゚)゚。平子さん尊いですよね……(;_;) (2017年8月3日 12時) (レス) id: d57e5a8b8d (このIDを非表示/違反報告)
恋は難しい - もともと平子さん愛してましたけど← もっと愛することができました。← (2017年7月16日 13時) (レス) id: 4df27568a3 (このIDを非表示/違反報告)
駄郎(プロフ) - 水素ちゃんさん» コメント本当にありがとうございます(T▽T)なんと嬉しいお言葉!!!もうど素人の処女作なので課題のたくさん残る作品ですがそう言っていただけると励みになります\(^^)/ (2016年10月26日 8時) (レス) id: a48a1efcf5 (このIDを非表示/違反報告)
水素ちゃん - 丈さんが好きで読み 初めたのですが、繊細で綺麗な表現に凄く惹かれました。細やかな心情や情景描写で全35話とは思えない満足感でした。駄郎さんの作品の虜になりました^^ また機会があれば別の作品も是非拝見させて頂きたいです。 (2016年10月21日 1時) (レス) id: d7599aa8e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:駄郎 | 作成日時:2015年5月2日 21時