6話 ページ8
試着室で着替え始めたであろうカラ松を見送ったあと、Aは焦った……と心の中で呟き額に浮かんだ汗を袖で拭う。
このお店になんであのズボンがあるんだろうか。もちろん、スパンコールのズボンのことである。
しばらく椅子に座って待っていると、シャッと試着室のカーテンが開き、着替え終わったと思いAが顔を上げた。
『あ、カラ松く……うわぁ!』
「これ俺に似合うか…?」
そこにいたのはいつもの松パーカーでも、イタイ格好でもなかった。
白いカッターシャツに全体が青で纏められたダイヤ柄の入ったベスト、黒いズボン。
カラ松がそんな格好をしているのが新鮮でもあり、そしてとてもカッコ良かったのが素直な感想だった。
『カラ松くんっ、凄くカッコイイよ…!』
「え、あっ本当か?あ、ありがとう」
『うん、本当に似合ってるよ!』
うん、買おう。
そう自分の心の中で決めて、さっさとお金を払おうとすると、慌ててカラ松から「待つんだA!ウエイト!」と止められた。
「何でAが払うんだ」
『ニートに払わせるような性格なんてしてないよ!』
「うぐっ…い、いやマミーからのお小遣いが」
『ダメ』
にこやかにそう告げればぐっと口をつぐむカラ松はそのあと、観念したかのように溜め息をついた。
「頑固だな、Aは。少しくらい俺に格好つけさせてくれないか」
『別に格好なんてつけなくても格好いいよ、カラ松くんは』
Aがそう言えば、瞬きしたあと照れたように彼はありがとうと微笑んだ。
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サトー(プロフ) - ありがとうございます!面白いと言っていただけるなんて… (2017年10月6日 22時) (レス) id: 06798f4f12 (このIDを非表示/違反報告)
女神の姉 - とっても面白いですね!!私の小説とは全然違う (2017年10月6日 21時) (レス) id: 86900be108 (このIDを非表示/違反報告)
サトー(プロフ) - Ririn☆さん» コメントありがとうございます。胸キュンですか、光栄です! (2017年4月4日 10時) (レス) id: 06798f4f12 (このIDを非表示/違反報告)
Ririn☆ - 胸キュンぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ (2017年4月3日 23時) (レス) id: 4ed4e75004 (このIDを非表示/違反報告)
サトー(プロフ) - さくらさん» コメントありがとうございます。更新はなるべく頑張ります! (2017年3月29日 9時) (レス) id: 06798f4f12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サトー | 作成日時:2015年12月30日 20時