32話 ページ42
目が覚めると、白い天井が見えた。
見覚えのない部屋で、キョロキョロと周りを見ると、Aがいた。
えっ?
「な、何で…っ痛…」
『カラ松くん!駄目だよ動いちゃ』
肩を柔らかく押して純白のベッドへと戻される。あ、ここ病院か。
確か俺…梨に負けたんだった……と、きゅっと心が締め付けられた感覚。
「A…俺、どうなったんだ?」
『……皆から物を投げられて大怪我したの』
ジクジク痛む頭や大袈裟だと思う包帯はそれのせいらしい。
……そうか。俺は兄弟に…
Aを見ると目が赤く腫れていて、泣いていたんだと悟る。
まだ溢れおちる涙を拭ってやると、痛む傷を悪化させないようにしながら、彼女を強く抱き締めた。
「Aに涙なんて似合わないぜ。俺は、もう大丈夫だから」
『でもっ…危なかったってお医者さんは言ってたんだよ……!』
「俺はここにいる。ずっと君の傍にいるさ」
俺の言葉を聞き、わんわんと泣く彼女を赤子をあやすように背中を一定のリズムでとんとんと優しく叩いた。
そうやって、しばらくすると寝息が聞こえてきた。どうやら眠ったようだな。寝不足なのか隈が出来ていて、俺は今まで呑気に寝てたことに苛立ちを覚えた。
軽く額にキスを送ってやると、俺も眠りへと誘われていく。
結局、入院中一度も兄弟が見舞いに来ることはなかった。
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サトー(プロフ) - ありがとうございます!面白いと言っていただけるなんて… (2017年10月6日 22時) (レス) id: 06798f4f12 (このIDを非表示/違反報告)
女神の姉 - とっても面白いですね!!私の小説とは全然違う (2017年10月6日 21時) (レス) id: 86900be108 (このIDを非表示/違反報告)
サトー(プロフ) - Ririn☆さん» コメントありがとうございます。胸キュンですか、光栄です! (2017年4月4日 10時) (レス) id: 06798f4f12 (このIDを非表示/違反報告)
Ririn☆ - 胸キュンぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ (2017年4月3日 23時) (レス) id: 4ed4e75004 (このIDを非表示/違反報告)
サトー(プロフ) - さくらさん» コメントありがとうございます。更新はなるべく頑張ります! (2017年3月29日 9時) (レス) id: 06798f4f12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サトー | 作成日時:2015年12月30日 20時