11話 ページ15
「………何」
部屋の隅っこでいつものように家に入ってきた猫を撫でてると、部屋の入口に女が立っていた。
素っ気なく言葉を発して睨むと、少し驚いてこちらを見ていた。
『あ、いえ…部屋に入ってくるのが見えたので』
「…ふぅん」
そんなの無視すればいいのに、と思いつつ俺は猫を撫でる手を止めた。
「ねえ」
そう声をかけると、驚いたのか「ひゃい!」と変な返事をしていた。こいつ面白いな
「アンタ、何で俺みたいなゴミに話しかけんの」
「俺と仲良くしたって意味なんてないし」
「あ、そうだ…もしかしてクソ松に言われたから?」
え、と短く発せられた声を聞きながら、俺は吐き捨てるように言葉を投げ掛けた。
いつもイタくてバカで頭空っぽ、そんなやつ。…どうせ仲良くして欲しいとかこいつに言ったんだろ。いらないお節介だ。
けど、呆然としていた女の口から出た言葉は意外なものだった
『…違いますよ。私は貴方に、一松さんに、一度会ってみたかったんです』
は?何で名前…と顔をあげて女の顔を見る。幼さが残る顔立ちだった。
へらっと笑うそいつを目を見開いて見つめていれば、俺のところまで歩いて隣に座った。
『カラ松くんが兄弟のこと…勿論、一松くんのことも話してたんです。
「一松はAと同じで猫が好きなんだ。実は優しい奴だから」…って』
「…クソ松…余計なことしやがって」
……まぁ、こいつに猫触らせるぐらいなら、近くにいてもいいか。………猫好き、みたいだし。
こいつらどうせ最終的に結婚しそうだし。
『あ、自分のことゴミだなんて言っちゃ駄目ですよ、ゴミな人間なんていないんですから!』
「…アンタ、お節介って言われない?それと…俺に敬語とかいらないから」
『…!うん、わかった』
嬉しそうに笑うAを見て、思わず少し口角が上がった。
俺の膝では呑気ににゃあと猫が鳴き声をあげていた。
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サトー(プロフ) - ありがとうございます!面白いと言っていただけるなんて… (2017年10月6日 22時) (レス) id: 06798f4f12 (このIDを非表示/違反報告)
女神の姉 - とっても面白いですね!!私の小説とは全然違う (2017年10月6日 21時) (レス) id: 86900be108 (このIDを非表示/違反報告)
サトー(プロフ) - Ririn☆さん» コメントありがとうございます。胸キュンですか、光栄です! (2017年4月4日 10時) (レス) id: 06798f4f12 (このIDを非表示/違反報告)
Ririn☆ - 胸キュンぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ (2017年4月3日 23時) (レス) id: 4ed4e75004 (このIDを非表示/違反報告)
サトー(プロフ) - さくらさん» コメントありがとうございます。更新はなるべく頑張ります! (2017年3月29日 9時) (レス) id: 06798f4f12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サトー | 作成日時:2015年12月30日 20時