生放送の主役は私だ！3【wrwrd】 (ページ15)

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86話ページ15

「本名の方も好きに呼んでくれていいからね」

確か彼の本名は白馬(しろま) 嵐(あらし)だったような。
嵐はらんとも読むのでこっちでもらんちゃんと呼びたい。
ぶっちゃけ私は皆の事、外以外ではハンネで呼ぶので時々わからなくなってしまうんだ。
ハンネも本名も同じ呼び方とか最高ではないか、私が。
だからって勝手に名前を文字るのもなぁ、と悩む。

「何をそんな悩んでるん？」
『ぇあ、いえ…本名の方でもらんちゃんって呼びたいな…とか…』

マンちゃんの問い掛けにしどろもどろ答えながららんちゃんをちらっと覗き見る。

「あぁ、嵐の音読みね。うん、全然いいよ"らん"なんて名前普通にいるしね」

まったく不満はないといった口調で、笑顔で言ってもらえたらそれはもう嬉しさ極まりない。
受け入れてもらえた事に安心して胸を撫で下ろせば、だけど…と小さく呟かれた。

「"らんちゃん"だとひとらんの方で呼ばれてるみたいだし…どうせなら"らん"って呼んで欲しいかな」
「あー！お前ずっこいぞ！そうやってハンネの方もそのうち"らん"って呼ばせる作戦やろ！！」

爽やかな笑顔を全く崩さないまま言いのけたらんちゃんに、マンちゃんの講義の声が飛ぶ。
身を乗り出して私の耳に近いのでちょっとうるさい、言わないけど。
続く2人のやり取りに苦笑しながらふと前に視線をやると、揃ってこちらを見ているゲーム組。
いや、先輩だけはテレビ画面を見て操作の止まったキャラ達をボコボコにしまくってるけど。

『…えぇ…と』

少しムスッとしているゾムと、呆れたような馬鹿にしたような表情のショッピくん、2人の視線が痛い。

「随分と仲ええなぁ。あーぁ、呼び捨ては俺の特権やってんけどなぁ」

コントローラーを投げ捨て、ソファーに座る私の前に腰を下ろしていたゾムさんがそのまま後ろにもたれ掛かり、私の足の上に頭を乗せる。
今日は髪を縛ってないのでサラサラフワフワな猫っ毛が足に掛かり、擽ったい。

「こらこらこらゾムニキ！女の子の足に無断で頭を乗せるんやない！」
「えー、ええやん、俺とAの仲やもん。なっ！」

ニッと無邪気に笑う彼は、とてもじゃないけど切り捨てられない。
これが無意識なのか計算なのか…ゾッとする程むっつりスケベさんの頭の中は計り知れない。

「ゾムさん、その人の足なんて気持ちよくもないでしょ。首が疲れる前に離れた方がいいですよ」

ショッピんは今日も好調のようですコノヤロウ。