85話 ページ14
「あ、動画見たんやけどゾムの事呼び捨てにしとるみたいやね」
そう、あの日から私はゾムの事をゾムと呼び、ゾムは私の事をAと呼んでくれる。
他の人達はまだ慣れないらしく変わりはないのだけれど。
そのおかげか、ゾムは私の名前を呼ぶ回数が増えたし、なんならどちゃくそ可愛がってくれている。
ゾムと一気に仲良くなれたみたいで嬉しい。
「なぁなぁ、俺の名前は?」
『え…オスマンさん、です』
「ちゃーう!」
何を当たり前の事をと思いながら答えれば、ムッとした顔で首を横に振られる。
え、オスマンさんがオスマンさんじゃなければ誰なの。
「オスマンって呼んでみ?」
『…オスマン…?』
「んー、なんかちゃうねんなぁ…」
うーん、と難しい顔して考え込むオスマンさんに目をぱちくりする。
あぁ、そうかこの人も私に近付いてくれようとしてるんだ。
『…マンちゃん』
「ん?」
ふと小さく零した私の声にぱっと顔を上げ、みるみるうちに破顔している綺麗なお顔。
「それ!それええな!」
「ふ、マンちゃん単純」
私の両手をその両手で取り、花が咲いたような笑顔で喜んでくれるオスマンさんの反対側からおかしそうに笑うひとらんさん。
「なんや、ええやんか!女の子とお前に呼ばれる"マンちゃん"の可愛さはちゃうんやで」
「えー、そんな事ないでしょ。マーンちゃん」
わざとらしく語尾にハートが付きそうな勢いで自分の名前(ではないけど)を呼ばれるオスマンさんの顔が一気に嫌そうな顔に変わった。
それでもクスクス笑うひとらんさんに、この2人は仲がいいなぁと私も口元が緩んでしまう。
「今度からマンちゃんって呼んでな!本名の方も満智でええよ〜」
彼の本名は
満智くん、って呼ばせてもらおう。
『ふふ、なんか楽しい』
「えぇ、楽しいのそれ?なら俺の事もそんな風に呼んでよ」
お友達になる時の挨拶みたいでついつい笑顔になってしまった私に、変わらずクスクスと笑うひとらんさんまで呼び方の変更を要求してきた。
ひとらんさん呼び方とか気にしない人かと思ってたから、ちょっと擽ったい。
『…らんちゃん?』
「マンちゃんに似てて笑う」
アハハっと顔をクシャクシャにして笑う彼はどこからどう見ても好青年ですありがとうございます。
「じゃあこれからはそう呼んでね、A」
切れ長の目を細めて微笑みながら私を呼ぶひとらんさんに少しドキッとした。
いきなりの呼び捨ては心臓に悪いよね。
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アズキ☆ - 更新、待っていますので、 頑張ってください!(´・ω・`) (2019年7月19日 15時) (レス) id: c6df9ac070 (このIDを非表示/違反報告)
ラムネ - あなたのこの小説が大好きです 待ってます (2019年7月7日 3時) (レス) id: b5b3763cd5 (このIDを非表示/違反報告)
とうふ(プロフ) - お元気ですか|´-`) 続きたのしみにしてます! (2019年5月19日 3時) (レス) id: 492d52f663 (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイの信者(プロフ) - niaさん» ふーん!嬉しいと言っておくぅ! (2019年3月19日 21時) (レス) id: 32b3ec6f64 (このIDを非表示/違反報告)
nia(プロフ) - アップルパイの信者さん» おお!私が今気になってる方々ですね!嬉しいですねぇ(*´∀`) (2019年3月19日 20時) (レス) id: 2a4204c7ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nia | 作成日時:2019年3月10日 23時