天才美少年からの1日と1日

いつもの教室 ページ14

奈子side

「おはよう。」

私はそう言って教室に入った。

ここはgénie教室。略してG教室。

「おはよ、王様。」

一番に私に挨拶を返してくれたのは火影君だった。

そして席に座っていた若王子君と美織君も口々に挨拶を返してくれる。

「はよ。」

「よ、王様。」

2人はいつもは犬猿の仲っていうか、口喧嘩が多いけれどこういう時は仲が良さそうに見える。

いつもこうだったら平和なのにねぇ。

「なんで突っ立ってんの、おまえ。」

後ろを振り向くと、早乙女君が不思議そうに私達を見ていた。

早乙女君がこのG教室に来てからそんなに経ってないけれど、すっかりここに馴染んでいる。

最近は何もかも順調だって機嫌が良いみたい。

私達がそれぞれの席に座ると、若王子君がおもむろに口を開いた。

「そういや、高校Gの噂、知ってるか。」

高校GっていうのはこのZビルにもう1つあるgénie教室のこと。

私達と区別するためにあっちは高校Gって呼ばれてる。

どうも高校生しかいないんだって。

「高校Gのメンバー、近い内に俺らとコンタクトする気らしいぜ。」

へえ、珍しい。

私達、同じgénie教室という形だけど実は1回も対面したことがない。

それに情報もそんなに持ってないし。

せいぜい浩史先生が担任をしているってことくらい。

私達があまり高校Gの事を浩史先生に聞かないってこともあるんだけどね。

「マジ？なんでそんな事知ってるわけ？」

「Zの連中が話してたのをたまたま聞いた。だからただの噂。」

若王子君はそういうと今日は市販のメントスを食べ始めた。

ふむ、今日はショコラティエさんはお休みなのかな。

行ったこともない若王子君の家の事情を考えていると不意に美織君が自分のバッグを探った。

「俺、コーラ持ってる。」

そう言うと若王子君のメントスを掴み取り、自分のコーラに入れようとする！

「やめろっ！」

若王子君は咄嗟に美織君に飛び蹴り！

それを美織君は簡単に避ける。

けど、美織君の後ろから火影君が難なくメントスを奪い取った。

「授業始まる前に教室を汚すなよ。」

火影君はため息をつきながらメントスを若王子君に投げる。

「やるなら外でやれば。Zビルの前とか。」

早乙女君の言葉に私はゾッとした。

もしそれがクラブZの誰かに見られたら、面倒な事になるのはわかりきってるもの。

お願いだから、そんな事しないでね。

その時、教室のドアが開き、浩史先生が姿を見せた。

浩史先生は私達に笑いかけながら言った。

「新入生を紹介する。」

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