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33.目覚め ページ35

__凄いわ、流石ね。この調子で頑張って

__Aさんは何でもできるのね

__きっとAなら1位いけるよ!



違う。私はそんなんじゃ____









「違うの……」

その声に驚き、目が覚める。
あたりは薄暗く静まり返っていた。

「久しぶりだなぁ……あんなの。」

思い出すだけで、身体が重くなり気持ち悪くなりそうだ。
頭を振って、何とか夢を忘れようとする。

ふと、手に何かが乗っているのに気がついた
ぐるぐると包帯で巻かれた、細く白い手。紛うことなき太宰さんの手だ。
暗くて居たのに気が付かなかった。

太宰さんは私の手を握り、もう片方の腕を枕にし乍眠っていた。
私の心配をしていてくれたのだろうか。

起こしても悪い思ったが、生憎目が覚めてしまったので何となく太宰さんの手を眺める。
綺麗で手先が少し冷たく、私の何倍も大きい。
そのまま眺めていると、ふっと太宰さんは目を覚ました。

「……おはようございます?」

「目が覚めたのだね……おはよう。」

「迷惑をかけてしまって……すみません。」

頭を下げる。
然し太宰さんは何時もの笑みでいてくれた。

「Aちゃんも目覚めたことだし……私もそろそろ帰ろうかな。
Aちゃんは此処に泊まるかい?」

「嗚呼……如何しましょう。」

正直あまり眠くないし、人気のない深夜の探偵社に1人となると寂しい。
でも今帰っても与謝野さんの迷惑になるだろうし……

そんな私の気持ちを汲み取ったのか、太宰さんも一緒に考えてくれる。

「Aちゃんも、見た目は幼女だからといって中身は17だもんねぇ。
私の家という訳にも……」

「え、いいんですか?」

「えっ」

どうせ明日は太宰さんもサボるだろうし、太宰さんの家なら敵襲が来ても安全だろう。
此方としては、とても有難い

「私はいいけど……」

「じゃあ、お願いします!」

勢いよく頭を下げる。
太宰さんは少し困惑気味だったけど、了承してくれた。





「Aちゃんさ、」

不意に、太宰さんに呼ばれた
今、私は太宰さんの横を歩き乍帰路についている。

然し、何故か太宰さんはそう呟いたきり、一向に次を言おうとしない。

「どうしたんですか?」

「……いや、今じゃなくてもいいかな。
今度聞きたいことがあるのだけど、その時は付き合ってくれるかい?」

太宰さんが此方を見る。
私はそれが何なのか聞きたかったが、はいとしか答えられなかった。

34.再び→←32.治療



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月城捺樹(プロフ) - 紅夏さん» 有難う御座います!更新させていただきました! (2018年5月14日 16時) (レス) id: b10180abe7 (このIDを非表示/違反報告)
紅夏(プロフ) - 面白かったです!これからも更新頑張ってください! (2018年5月1日 23時) (レス) id: 6f15b8d456 (このIDを非表示/違反報告)
月城捺樹(プロフ) - 1つ1つ返せなくてすみません!沢山の方から期待して頂いてとても嬉しいです。遅くなりましたが更新させていただきました。 (2018年2月24日 21時) (レス) id: b10180abe7 (このIDを非表示/違反報告)
みっく - とても面白いです!応援してます、更新期待してます (2018年2月21日 18時) (レス) id: c025c89ca4 (このIDを非表示/違反報告)
蛍原(プロフ) - このような内容の作品大好きです! 次の話を期待して待機してます(●´ω`●) (2018年2月19日 23時) (レス) id: 5ee87af96c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月城捺樹 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年10月14日 18時

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