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32.治療 ページ34

NoSind


深夜の建物内に、パタパタと走る音が響く。
Aを背負い走る太宰は肩で息をしている
大きな音をたてて、ドアが開いた

中には、1人の女性____
与謝野が足を組み、新聞を広げている。

「与謝野女医!」

「なんだい?太宰。
こんな時間に妾を呼び出して、」

与謝野の声は其処で途切れた。
今にも息途絶えてしまいそうなAが太宰に背負われていたからだ。

「今すぐ手術室に運びな!
話はあとだ」

与謝野は太宰を促し、手術室へと入って行った





ドアが開く。
黒い手袋を外し乍与謝野が出てきた

「……与謝野女医」

「Aは無事だよ。今は眠ってる
時期に目を覚ますだろう

……然し、何であんな事に成ったんだい?」

与謝野は太宰を見る。
その顔には呆れた様な、困った様な何とも云えぬ表情が浮かんでいた。

「詳しくは分からないんですが……銃弾を浴びたそうです」

太宰はそう答え、後はただドアの向こうを見つめるばかりだった。
其の姿に、与謝野は小さくため息をつく。

「まァ、アンタが全部答えるとは思ってないけどね
只、探偵社の方は大変でねェ。かなりの騒ぎだったみたいだよ?」

そう云い乍与謝野は立ち上がる。
そして気が気でならない様な太宰の背中をパンッと叩いた
それに、太宰は小さく呻く

「そんなに心配するなら、ベッドで見ててあげな。
妾もそろそろ帰るから、後は頼んだよ」

太宰は返事をすると、与謝野にお礼を云いつつ病室の中へと入っていった。



中では、Aが闇の中で静かに目を閉じていた。
太宰が背負っていた時よりは幾分か辛そうな表情が消え、気持ち良さそうにすよすよと眠っている。

「Aちゃん……」

そう呟く声にAは反応しない。
太宰はAの髪を撫で、そっと手を取る。

「無理はしないでおくれよ……?」

太宰の頭には、銃弾を浴びたにも関わらず普段と変わらぬ様子で笑うAが思い浮かんでいた。



____君は何故笑う?

33.目覚め→←31.出血多量



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月城捺樹(プロフ) - 紅夏さん» 有難う御座います!更新させていただきました! (2018年5月14日 16時) (レス) id: b10180abe7 (このIDを非表示/違反報告)
紅夏(プロフ) - 面白かったです!これからも更新頑張ってください! (2018年5月1日 23時) (レス) id: 6f15b8d456 (このIDを非表示/違反報告)
月城捺樹(プロフ) - 1つ1つ返せなくてすみません!沢山の方から期待して頂いてとても嬉しいです。遅くなりましたが更新させていただきました。 (2018年2月24日 21時) (レス) id: b10180abe7 (このIDを非表示/違反報告)
みっく - とても面白いです!応援してます、更新期待してます (2018年2月21日 18時) (レス) id: c025c89ca4 (このIDを非表示/違反報告)
蛍原(プロフ) - このような内容の作品大好きです! 次の話を期待して待機してます(●´ω`●) (2018年2月19日 23時) (レス) id: 5ee87af96c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月城捺樹 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年10月14日 18時

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