7.話 ページ9
其れから私は、探偵社の中へと案内された。
……何だか事務員さんに見られている気がするのは気のせいにしておこう。
「国木田くーん、応接室借りるよー」
太宰さんが間延びした声を出す。
「太宰、探偵社の応接室を私用化するな!
……なんだ、其処の幼女は。」
国木田さんが此方を向いて云った。
…高2が幼女扱い……
「嗚呼、この子?この子は私の娘だよ!」
「え"」
「(この人何考えてるんだろう。)」
「は?だ、だざい、貴様娘が居たのか?!」
国木田さんが取り乱している。よく引っ掛かるなぁ。
もう、純粋を通り越して単純?
「なんてね、嘘だよ〜」
ガンッ
太宰さんが国木田さんによって殴られた。
「太宰さん、御愁傷様です」
「一寸Aちゃん?!」
何だか後ろで太宰さんがわーわー云ってたけど、私は、聞こえないフリをして国木田さんに近づいた。
幼子のような満面の笑みを張り付けて。
「はじめまして!一条Aです!太宰さんの娘なんかではありません。」
「Aちゃん、『なんか』とは酷くないかい?」
そういう太宰さんを尚も無視し続け、国木田さんとお話をしている。
と、面倒な事に成りそうだったため、適当に流しておいた。
「なんか適当だね…まあいいや、応接室遣うよ国木田君。」
「あ、おい!」
半ば強引な形で応接室を借りた。
*
今、私達はソファに向かい合う形で座っている
敦君は依頼に行ったそうだ。
問題は、話を太宰さんが一向に切り出さない。
普通に気まずい。
「あ、あの…?」
「嗚呼、すまないね。
単刀直入に聞くけど____
君は何者なんだい?」
やっぱり。
太宰さんなら、あれに気付かない筈がない。
張り付けていた笑みが、少し狂気染みていくのが自分でもわかる。
「君が、入社したいと云った時__
彼の時の雰囲気、目は明らかに小学生の物モノではなかった。
君は一体、何なんだい?」
入社すると決めたときから隠そうだなんて思ってはいなかった。
今が、丁度良いタイミング何だろう。
私は笑みを今までの崩し、太宰さんを確りと見据える。
そして、今まで作っていた幼稚な声色を元に戻して云った。
「その通りです、太宰さん。
私は、小学生ではありません。
高校生2年生の一条です。」
太宰さんは少し驚いた表情をしていたが、ふっと笑うと『やっぱり』、とでも云いたそうな顔に成った。
「矢張、普通の小学生では無かったのだね。只、此処まで変わるとは思っていなかったけど。」
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月城捺樹(プロフ) - 紅夏さん» 有難う御座います!更新させていただきました! (2018年5月14日 16時) (レス) id: b10180abe7 (このIDを非表示/違反報告)
紅夏(プロフ) - 面白かったです!これからも更新頑張ってください! (2018年5月1日 23時) (レス) id: 6f15b8d456 (このIDを非表示/違反報告)
月城捺樹(プロフ) - 1つ1つ返せなくてすみません!沢山の方から期待して頂いてとても嬉しいです。遅くなりましたが更新させていただきました。 (2018年2月24日 21時) (レス) id: b10180abe7 (このIDを非表示/違反報告)
みっく - とても面白いです!応援してます、更新期待してます (2018年2月21日 18時) (レス) id: c025c89ca4 (このIDを非表示/違反報告)
蛍原(プロフ) - このような内容の作品大好きです! 次の話を期待して待機してます(●´ω`●) (2018年2月19日 23時) (レス) id: 5ee87af96c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月城捺樹 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年10月14日 18時