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30.脱出 ページ32

吐かせる……というと拷問か……。

「あまり手荒な真似はしたくないからねぇ。
早く吐いてくれると助かるよ」

森さんは表情を崩さずに云う。
私も表情は変わっていないと云えども……身体は正直な様で、手が震えていた。

それに、私もこんな所で何時までも居る訳にもいかない。
太宰さんと一緒に帰る約束をしたから。

其の時、首領室の窓硝子が目に入った
そしてふと在る考えが思い付いた。
太宰さんなら、もっと安全で簡単な方法が思い付いただろう
然し、今私に出来る方法は此れしかなかった。

「ポートマフィアの首領さん。」

「……」

私は後ろで手を組む。
そして、笑顔を作った

「私も痛いのは嫌なんですよね……

戸籍が無いのは、私には両親が居らず作っていなかったから。
目撃証言が無いのは、今迄凄い田舎で育ってきたからですよ」

「成程……まあ、筋は通るねぇ」

必死に笑顔を作りつつ、手に力を込め続ける。
後ろに見張りの黒服さんが居ない居ないのが救いだ。

「では、其の歳に似合わぬ口調と雰囲気は?
何故今頃になって此方に来た?」

「……それは」


漸くできた。

私はにこりと笑う

「私が幼女ではないからです!」

「!」

言い終わるが早いか、私は窓に向かって走り出した。
同時に、後ろで自動小銃を構えていた黒服さん達の銃口が火を吹く。
銃弾が腕や脇腹に突き刺さる。それでも私は足を止めず走った

そして先刻迄作っていた自分の異能を変形して、先を尖らせ窓硝子を割る。
丸くヒビの入った硝子に思い切り体当たりした。
瞬間窓硝子は円形に割れ、私の身体は重力に逆らうことも出来ず地上へと急降下する。


計画通りにいった。


然し安心も出来ない。
今落ちている身体が粉々に成るのを防ごうと、先刻同時に作っていた大きな異能玉を使う。

今度は異能玉を細長くし、一方を身体に巻いた。
もう一方を先を近くにあったビルの屋上の手すりに引っ掛けて落下を防ぐ。

何度か其のビルの壁を蹴って勢いを殺した。

そうして、漸く止まった。
此の異能を辿って屋上に戻るのも面倒だったので、足元の窓に人がいない事を確認して窓硝子を割った。


……窓硝子の修理代は森コーポレーションにつけといてもらおう。

31.出血多量→←29.首領



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月城捺樹(プロフ) - 紅夏さん» 有難う御座います!更新させていただきました! (2018年5月14日 16時) (レス) id: b10180abe7 (このIDを非表示/違反報告)
紅夏(プロフ) - 面白かったです!これからも更新頑張ってください! (2018年5月1日 23時) (レス) id: 6f15b8d456 (このIDを非表示/違反報告)
月城捺樹(プロフ) - 1つ1つ返せなくてすみません!沢山の方から期待して頂いてとても嬉しいです。遅くなりましたが更新させていただきました。 (2018年2月24日 21時) (レス) id: b10180abe7 (このIDを非表示/違反報告)
みっく - とても面白いです!応援してます、更新期待してます (2018年2月21日 18時) (レス) id: c025c89ca4 (このIDを非表示/違反報告)
蛍原(プロフ) - このような内容の作品大好きです! 次の話を期待して待機してます(●´ω`●) (2018年2月19日 23時) (レス) id: 5ee87af96c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月城捺樹 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年10月14日 18時

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