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29.首領 ページ31

「中也さん」

「今度は何だよ」

「せめて降ろすか担ぎ方変えてください
俵担ぎ辛いです」

担がれてる為、お腹が圧迫されて痛いんだよね
そう言うと中也さんは方から降ろし、抱っこにしてくれた。

それから暫くして、昇降機の前迄来た。
中也さんが一言、中原だと云うと昇降機の前に立っていた黒服さんが前を開ける
確か、首領部屋直通の昇降機だった筈だ。

登っていく昇降機の硝子窓から小さくなっていく周辺のビルが見えた。
……今更乍少し心配になってきた。

首領部屋の重そうな扉を叩く。

「首領、中原です」

中也さんが帽子をとり、胸に当てる
だが、その言葉は聞こえていないようだった。

「ねえエリスちゃん、此のドレス着てみてよ
きっと似合うよ」

「ドレスは嫌じゃないけど、リンタロウの其の必死さがイヤ!」

真っ赤なドレスを着た金髪の幼女を、前髪を後に流し黒い服で身を包んだ中年男性が追いかけている。
謎の既視感を覚える光景だ。

そっと中也さんの方を見てみると、其の顔は無だった。
此の人も苦労人だな……

「首領、中原です」

「1秒さっと着るだけ!お願い!」

「イヤよ!」

中也さんがドアを開けた。
然し二人は気付いていない様だ

「首領」

其の一言でやっと気付いたようだ。
ピタッと二人の動きが止まる。

「首領。指示通り一条Aを連れてきました。」

「嗚呼、御苦労様」

先刻迄の気の抜けた雰囲気は何処へやら、急に首領らしく話し始めた。
エリスちゃんはそんな彼をひと睨みした後、隣の部屋へと移動していた

「……君達は何を見ていない。いいね?」

「はい」

嫌、無理でしょ
そう思い乍も声には出さなかった。

机の上で手を組む中年男性。
彼は

ポートマフィア首領
_________森鷗外

「首領、俺はこれで失礼します」

そう云って中也さんは下がって行った。
私を見つめる森さんは、口元だけが笑っている。

「君は、最近有名人らしいねぇ。」

「……はぁ」

突然思ってもみない事を云われた。
私が有名人なんて……一体如何いう事なのだろう

「突如現れた幼女。戸籍も無ければ、此処最近迄の目撃証言も無い
更には、幼女とは思えない程の大人びた雰囲気、立ち振る舞い。

今だってそうだ、夜の世界を牛耳るポートマフィアの首領室にいるにも関わらず、君は警戒する所かまるで無表情だ。」

詰まりは……私の存在自体が異物だということか。

「其の理由を私に吐かせようと此処迄連れてきたんですか?」

「飲み込みが早くて助かるよ」

30.脱出→←28.恥



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月城捺樹(プロフ) - 紅夏さん» 有難う御座います!更新させていただきました! (2018年5月14日 16時) (レス) id: b10180abe7 (このIDを非表示/違反報告)
紅夏(プロフ) - 面白かったです!これからも更新頑張ってください! (2018年5月1日 23時) (レス) id: 6f15b8d456 (このIDを非表示/違反報告)
月城捺樹(プロフ) - 1つ1つ返せなくてすみません!沢山の方から期待して頂いてとても嬉しいです。遅くなりましたが更新させていただきました。 (2018年2月24日 21時) (レス) id: b10180abe7 (このIDを非表示/違反報告)
みっく - とても面白いです!応援してます、更新期待してます (2018年2月21日 18時) (レス) id: c025c89ca4 (このIDを非表示/違反報告)
蛍原(プロフ) - このような内容の作品大好きです! 次の話を期待して待機してます(●´ω`●) (2018年2月19日 23時) (レス) id: 5ee87af96c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月城捺樹 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年10月14日 18時

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