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陌拾參 ページ20

「何があったのか詳しく説明してくれるかな?」


気を失っている隊員達を介抱しながら、その場から動こうともしない彼に問いかける。


「何、ってそっちが突っ掛かってきたから実力差を身を持って体験してもらっただけだよ。」


全く悪気は無さそうに、平然と彼はそう答えた。


…お館様、貴方が私にわざわざ頼んだ理由が分かった気がします。


「そうなの? そこの可愛い鴉ちゃん。」


縁側にちょこんと座っていた睫毛の長い鴉に問い掛ければ、焦ったように羽をバタバタとさせながら近寄ってきた。


「ソ、ソノ通リヨ! アイツラガ、コンナ奴ガ柱ナノカ、ッテ言ッテキタノガ悪イノヨ!!」


「…最近隊律を乱す奴が多いって本当なんだね。この件は上に報告しておかないと。取り敢えず彼等を中に入れよう。ほら、手伝って。」


「…何で僕が。」


「君がやったんでしょう。これぐらいは責任を取らないと。」


「僕は柱だよ。そんな事に時間をかける余裕は…」


一度は会っている筈なんだけれども。…モノを覚えられない、というのは本当なのか。


けれども試してみる価値はあるだろう。右手の甲を、彼に向けた。


「階級を示せ!」


じんわりと温かくなり、“暉”の文字が浮かび上がる。


微かに彼が息を呑んだのが分かった。


「ねぇ、時透君。もしこれを手伝ってくれたら手合わせしてあげても良いよ。」


「…………え?」


ぽかんと彼は口を開けて、此方を凝視する。


「貴方が、暉柱……あれ、貴方と戦ってみたいってずっと思っていたんだけれども、どうしてだっけ。」


「ホラ暉柱ハ悲泣嶼サント肩ヲ並ベル最強ノ柱ダッテ言ワレテイタジャナイノ!!」


「まぁ、他の人に何て言われているかは知らないけれども。どう、私と戦ってみたくない?」


両手を広げて、意地悪く口角を吊り上げる。


「雑魚鬼を斬るよりも、有意義な時間を過ごせると思うけれども。どうする?」


彼の瞳に、微かに光が宿った気がした。


「……戦いたい、です。」


「じゃあ決まり! このあと任務は入っている?」


「いえ、明日の朝に出発するので、時間に余裕はあります。」


「それなら三時頃に始めようか。ほら、それならさっさと終わらせよう。」


彼は素直にこくりと頷き、倒れた隊士をずるずると引き摺りながら中に運ぶ。体格差もあるし仕方ないか、と一人納得して、気絶している隊員の一人を持ち上げた。

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酸漿(プロフ) - きなこ餅さん» 有り難う御座います。これから続編を書いていくので、そちらの方も是非お楽しみください。 (2019年10月20日 21時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ餅 - たくさん伏線がはられていて、読む度にドキドキします! これからも更新頑張って下さい! (2019年10月19日 21時) (レス) id: 3d1d19266b (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - 神桜佳音さん» 嬉しいコメントありがとうございます(^-^)励みになります。これからもどうか宜しくお願いします。 (2019年10月13日 19時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
神桜佳音(プロフ) - ようやく納得しました…!話が深い…。辛い。けど、すごい好きです!無理されないで更新されてください!続き待ってます! (2019年10月10日 19時) (レス) id: 78c574c661 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:酸漿 | 作成日時:2019年9月21日 18時

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