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私は、単純に高尾くんに好きな人がいるかどうか聞こうと思った。せめてまた遊ぶ約束だけでも取り付けようとも思った。
だけれど、高尾くんと向き合った瞬間、その真剣な目に吸い込まれ何も言えなくなった。
なんでもないと誤魔化すと、俺じゃ頼りないのか、と切ない顔をされた。私はそんな顔をさせたいわけじゃないのだ。
そうではないとすぐ否定した。そうしたら急に顔を近づけられ、名前呼びまでされた。恥ずかしいったらありゃしない。きっと顔は真っ赤だろう。
「た、高尾くん…」
「ん?」
「わ、私と遊び、行きませんか!!」
「へ…?」
「きゅ、球技大会終わったあとでいいから…!!!」
遊びに誘われると思ってなかったのか吹き出して笑う高尾くん。何を期待していたのか…
私はまだ、好きな人がいるか聞かなくていいと判断したのだ。もしいると言われたら辛くなってしまうから。今は純粋にこの距離を楽しみたいのだ。
「わーった、わーったから!行こ、遊び!」
私は返事ににへへ、と微笑んだ。
その時、高尾くんの顔が真っ赤だったことは知らない。
「もちろん、2人っしょ?」
!?…急に2人と言われ、意識せずには居られなくなった。2人で、遊び…なんかデートみたいだなと思った。
「う、うん!!2人!!!」
「ははっ、デートみたいだな、なんか!キンチョーするわ」
そういい笑っている高尾くん。
私だって緊張しますとも!でも、高尾くんと2人きりで出かけられることになり嬉しく思えてきた。球技大会頑張ろうと心の中で誓った。
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作者名:なの | 作成日時:2021年4月5日 0時