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匠海side
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「……ちょっと、いい?」
「え」
「ねぇ、松尾君と北村君が話してるよ!」
途端にざわつき始める周囲。
え、なに。このめんどくさい状況。
松尾が俺に何の用?そしてこの注目度なに?
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松尾は笑顔でボソリと「うっさ」と言った。
ん?
「うっさいから非常階段の所来てくれる?」
風邪声だから、というだけの理由ではない低いトーンで淡々と話すその姿は、周囲の言う王子様ではなく鬼とか魔王とか何かそういう類だった。
「松尾って、そんな感じなんだ〜」
馬鹿正直に言えども口封じをするわけでもなくケロリとしていて肝が座っているな、と思った。
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「先輩は、」
「先輩?」
肝が座ってるわりに少しどもりながらもまた続ける。
「……A先輩は、風邪?」
「……あ、A?熱があるって。今日下がったら明日は来るみたいだけど」
少し怯んだその表情。ああそういえば昨日Aの様子変だったな。
俺は興味本位で松尾にも同じ質問をしようとした。
「松尾はAとどんな、」
「どんな関係なん、先輩と」
わーこいつ……被せ気味に。
まじでいい性格してる……
でもにっこり笑ったその表情は、先ほどとは異なるほど穏やかで。
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「ただの幼馴染だよ」
口が勝手に質問に答えていた。
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満足そうに笑って、「これ、先輩に渡しておいて」と小さな箱を投げてきた。
ああ、そういえば。昨日Aも、
“ただの幼馴染”ってフレーズを口にしていたな、と何かを察してしまった。
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背を向けて歩き始めた背中に、
「俺は“ただの幼馴染”だよ、」
「俺はね、」
と、聞こえもしないほど小さく告げたのは、
質問を遮られた仕返しと、
教えてあげたい気持ちと。
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もう一つ言えることは、
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「……“俺は”、敵じゃないよ」
敵は、俺じゃない。
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5 - 続きが気になります!! (2020年4月24日 1時) (レス) id: e2f7b4b683 (このIDを非表示/違反報告)
あ - もう更新はなさらないのでしょうか?( ; ; ) (2020年2月5日 4時) (レス) id: 69e88fbea1 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - 続きが楽しみです!更新楽しみにしてます〜(^ ^) (2019年1月16日 19時) (レス) id: 7620beece4 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - すごく面白かったので更新楽しみにしてます! (2018年12月24日 12時) (レス) id: 1ea4876c06 (このIDを非表示/違反報告)
かいら(プロフ) - 面白かったです!更新頑張ってくださいー (2018年6月18日 13時) (レス) id: f9d0a6bd90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:plum ne | 作成日時:2016年11月3日 23時