39 ページ39
しっかりと蓋をしていたのにどうやって抜け出したんだと驚くAと違って千空は冷静で、まるで誰かに話しかける様に蜘蛛に向かってはっきりと…
「Aの事が大切なら俺らに協力しやがれ」
と喋る。
「えっ…」
「聞こえてんだろ。俺らの声が」
「!?」
全く反応を示さない蜘蛛に千空は堂々と話し続ける。
「クソ科学者、Aがどうなってもいいのか」
「糞!?ノア君の事そんなふうに言わないで下さい!」
千空の肩を掴んでブンブン揺らして「糞は訂正してください」とAが泣きつくとガガガと蜘蛛から不気味な機械音が鳴りAが恐怖で黙り込む。
「…静かに!何か言ってる…」
かなり雑音が混じっているが…言葉を放ってる事に羽京は気づき、その場にいた全員をその一言で黙らせる。
《Aちゃーーんをーーー…マキーー…込むーーーー…な…》
「えっ…」
《(名前ちゃんーーヲ:small)ーーー巻ーーき込むーーなAちゃんを巻き込むな!!!!ーーーーー…》
「「「「っーーーーー!?」」」」
壊れたラジカセの様に同じことを何度も何度も何度も繰り返したかと思えば、蜘蛛のサイズからは考えられないほどの大音量が流れ、普通の聴覚の者ですら耳をキーンと痛める。
「うっ…」
いきなりの爆音に近くにいた羽京の鼓膜が切れ、血を流しながら耳を塞ぎその場に座り込む。
「う、羽京さん!!」
Aは咄嗟に羽京の耳を一緒に押さえ、痛そうにしている羽京を涙目で見つめる、
《いじめるな…いじめるないじめるないじめるないじめるないじめるないじめるないじめるないじめるないじめるないじめるないじめるないじめるな!!!!》
そんな事など気にもせず蜘蛛は何度も何度恨みでも吐くように同じ言葉を爆音で繰り返す。
コハクが仲間を傷つけられた苛立ちから、蜘蛛を刀で叩き壊そうとするが…蜘蛛の体には傷一つ付かず、刀が刃こぼれを起こす。
防御力の高さに皆が驚いて声を出さない中、Aが珍しく声を荒げる。
「ここにいる人達はそんな人たちじゃない!!!!ボクを一人の人間としていつも見てくれた大切な人達だ!!!!!あの人達と違う!!そんな風に言うな!!!!傷つけるな!!!!」
98人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
風夏(プロフ) - いつの日か続き楽しみにしてます^_^ (4月8日 22時) (レス) id: a7ba8ebdd3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:クリーム | 作成日時:2023年12月29日 20時