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花火が終わり、島の住民も科学王国民も眠りについた夜更けAは治療室で黙々と作業をしていた。

「よしっ…」

紙を紐で束ねて一冊の本を作り終えAは体を伸ばしそろそろ眠ろうかと思ったが、窓から入る朝日の光に気づき苦笑いを浮かべる。

「寝るのは船が出港してからかな」

今日の朝には出港だと聞いていたAは出来たばかりの本を持って外に出る。


最後に兄が最後に作ったであろう宇宙船ソユーズを見に向かうと千空とコハクと遭遇しお互い驚く。

「Aどうしたのだ」
「最後に…ソユーズ船を見ようかと」

記憶力の良いAならわざわざ見に来なくても、脳内に映像が記録されているだろうとコハクは不思議に思ったが、

「私が運んでやろう」

コハクはAを抱き、木を登りソユーズ戦が眠る木の幹に運ぶ。

「ありがとうございます」

コンクリートで覆い被されていたソユーズ船は残念ながら劣化によりほとんど跡形もなく崩れていた。
この中からあの蜘蛛の機器が眠っていたとはやはり考えにくい…。

あの蜘蛛は一体何処から来たのか…
兄に関する手がかりが少しでもあればと思ったが…残念ながら何一つありそうにない。

「ありがとうございます…もう大丈夫です」

またコハクにAは木から下ろしてもらうと、千空がソユーズと話していた。

「ソユーズまでどうしたのだ」
「ここなら別れる時に最後まで船を見届けられるんじゃないかなって…と思って」

ちょうど良かったとAは先程まで作っていた本をソユーズに差し出す。

「この島で見つけた植物や果物から作れる医薬品やそれに必要な道具の作り方や素材を書いた紙を束ねた物です」

Aからソユーズは本をもらい一枚一枚ページを目に写す。

「これぐらいしか書けなくて…抗生剤の作り方も一様何種類か書いてあります。あと危険な植物や、虫や魚と…それと!!!?」


説明をしているとソユーズが泣き出しAは驚いて肩を跳ねさせる。


「ど、ど、どうされました…スミマセン不快な文がありましたか…」
「いやっ…Aクンがどれだけ大変だったか…どんな思いでこれを作ってくれたのか考えると涙がっ…」


ソユーズはそう言ってAのペンを持ち過ぎてマメが潰れている手を掴み目を細める。


「本当にありがとう!大切に扱うよ!!島のみんなのためにも!未来の子孫達のためにも!!必ず大切に保管して未来へとこの知識を引き継いでいくから!!」

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風夏(プロフ) - いつの日か続き楽しみにしてます^_^ (4月8日 22時) (レス) id: a7ba8ebdd3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:クリーム | 作成日時:2023年12月29日 20時

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