君の心臓の音【Dr.STONE】3.5 (ページ2)

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「欲しいですね」
「そうだろ」
「へっ…ど、どうぞ？沢山あるので…」

Aが欲しいと意気投合する2人にAは瓶詰めの話かと勘違いして何個かボタン肉を出す。

「他にパン作りに必要な材料はありますか？」
「ナッツ類と出来ればアルコール漬けされたフルーツやドライフルーツを頂きたいです」

「ありますよ」

Aは他の食品や今の時期に植える種なども一緒に棚から次々と迷わず取り出していく。

「これぐらいあれば足りますか？」
「はい、心から御礼申し上げます」

フランソワの丁寧語にAは理解するのに戸惑いながらも問題なのは砂糖だと伝える。

Aは毎年クリスマスに食べていたからシュトーレンには大量の砂糖が必要でそれが長期間の保存に大きく関係しているのも知っていた。

一様砂糖はあるが、船旅で人数分のシュトーレンを10ヶ月間分となると流石に貯蔵庫の砂糖だけでは足りない。

砂糖の件は後から千空と考える事にして、今回作るパンに必要な素材を出していく。

「ベリーならクサイチゴとラズベリー、ジューンベリーなどがありますが…」

「試作品を作りますので、消費期限が近いもので構いません」

「でしたら…ユスラウメをお願いします。これぐらいあれば足りますか？」
「はい」
「これは昨年の5月に収穫した物なので、まだ期限は大丈夫なんですが…酸味が強く使い道が難しいので」

フランソワと食材の事で話し合うAに龍水は棚を照らす。

凄まじい記憶力だと龍水は瓶の数ですら覚えられないと戸惑いながらも腰を下ろして別の作業を始めるAに声をかける。

「今度は何をしてる」
「種芋が傷んでいないか確認です。一つでも傷んでる物が混ざってると他の物も傷みやすくなるので」

ジャガイモに近い種芋を一つ一つ確認しながら一つ一つ袋に分けていく。

「大切にされてますね」

食材や棚に埃ひとつない事にフランソワはAが丁寧に管理しているか見て分かり褒めるようにそう伝える。

「ここにある物は村の人達が一生懸命育てた作物や、探索チームが危険と隣り合わせて取ってきてくれた物ばかりなので」

だから種一つ無駄にしたくないとAは大切そうに食材を見つめる。
その姿を見て、千空がAにここを任せている理由が分かったと龍水が呟く。

「えっ？ああっ…この暗さで作業が問題なくできるのはボクだけだからですよ」

他の人でも出来ると言うAに〝自信のない天才〟の意味を2人は理解する。