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黒のシルクハット・上 ページ12

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ここは窓がなかった。本来ならこのビルに存在しない地下7階。黒を基調とした物々しい場所だった。


入り口には黒い扉に金で『きらきらコウモリ』と英字で書かれている。…怪しすぎて好奇心をくすぐられるようなそんな扉だった。


実はここはお店などではない。当たり前だ。存在しないはずの地下7階だからだ。

この地下7階の所有者である僕が1番よくわかっている。


地下7階にはいくつか部屋がある。丁度そこから覗いているネズミさんに分かりやすく説明してあげる。


この地下7階には僕の部屋、応接間、リビングとキッチン、ダイニング。そしてキミが見ている漆黒のこの部屋とお風呂とトイレと…。


…そんなものかな。え?間があった?んなの気にしちゃダメダメ!別に何にもないから!安心して?


ネズミは半目で僕を睨みつけた。全く怖くない。むしろ可愛い。僕はできるだけ笑顔で語りかけた。


「せっかくお茶を用意したんだ〜!一緒にお茶、しよう!」


ネズミは肩を震わせた。困惑と恐怖と疑心がないまぜになった虚ろな瞳で僕を見つめる。


どうやらお茶会に参加してくれるらしく、僕にノコノコついてきた。…バカだねぇ。

黒のシルクハット・下→←鳥籠の窓から



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作者名: | 作成日時:2017年9月18日 11時

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