肆 ページ7
｢A様、何を!?｣
｢頭をお上げください!九尾様!｣
｢A様!｣
｢やめてください!大将!｣
尊敬し、敬愛し、何処までも着いていくと誓った主が目の前で深々と頭を下げている。
それは妖たちにとっては、あまりにも恐れ多いことだった。
｢A、皆のために頭を上げてくれ。
太次郎や猫娘が泣きそうだ｣
そう言われ、ゆっくりと頭をあげる狐。
皆ほっとした様子をみせる。
｢……A様のお気持ち、理解致しました。
ここにいる妖、もう誰一人として‘奥方’を否定致しません。
代表して、この鈴が誓います｣
透き通る声で、ハッキリとそう言う座敷童子。
‘後からきた者でもあり、前を知る者’である彼女。
その誓の重みは、皆とは違った。
｢あぁ、礼を言う｣
座敷童子は一礼すると、では、私は一足先に戻ります。幻太郎様を護らねばならないので…と言い、スゥッと消えていった。
｢……私たち後から来たものは、奥方を知りません。あの、先程失言をしましたが……いつか、会わせては頂けないでしょうか?｣
百々目鬼はよそよそしく問いかける。
狐はそれに笑顔で勿論だ、と返した。
｢時間は掛かるかもしれぬが、いつかまた、この社に連れてくるつもりじゃよ｣
そう言うと、前からいる者、後からきた者関係なく皆笑顔になった。
結局は、皆して気になっていたのだ。
何日、何年、何十年になるか分からない。
それでも再び心が通じ合ったその時に、狐は愛しい存在を‘家族’の元へと連れてくるつもりでいる。
今日は、それを話すつもりで社に戻ったのだ。
｢A、はやく連れて来れるといいな｣
｢………そうじゃのぉ｣
少し浮かない表情の狐に、海坊主は一瞬険しい顔を見せた。
けれど本当に一瞬だった。
｢不安事があるのか…?｣
｢くくくっ……不安しかないよ。らしくない事にのぉ…｣
｢……そうか｣
村を焼き尽くした、あの炎のような茜色に染まった空。
月も出なければ、朝日も昇らない。
音も風もないこの場所には＿＿＿＿、
妖たちが集まる。
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ふぃっく - 一番気になるところで終わるのがウズウズします！！！！！！ぜひ続きを書いてください！ (2023年4月16日 14時) (
レス) @page38 id: 634615dde5 (このIDを非表示/違反報告)
心春(プロフ) - ロールロールさん» コメントありがとうございます。最近更新出来ずに申し訳ありません…。近々更新致します。あたたかいお言葉ありがとうございます。 (2020年4月5日 12時) (レス) id: 3f9e794f84 (このIDを非表示/違反報告)
ロールロール - はじめまして!とても楽しみに更新待ってます！体調管理に気をつけてください!応援してます。頑張ってください。 (2020年4月5日 0時) (レス) id: d8adda4a88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：心春 | 作成日時：2020年1月12日 9時
