弐 ページ17
そして、関係が変わったのは俺たちだけではない。
「おーい!!」
「あれは、帝統」
向かい側から走ってくるギャンブラーの男。
最近、ほぼ毎日と言っていい頻度で家に来るようになった。まぁ、この男の場合は以前からも出入りは多かったが…。
しかし、変化というのは出入りの多さでは無い。
この男は、何かしら連れてくるのだ…。
「…って、足についてるのは何ですか!?」
「……彼奴、よく今まで無事で生きておったのぉ」
ギャンブラーの足にしがみついている、明らかに人でないもの。
そう、この男は憑かれやすい体質だったのだ。
狐によって見えるようになり、更に憑かれやすくなってしまったらしい。
一度、元に戻すかと聞いた。
しかし男は、そうすれば今まで出会った奴らに会えなくなると言ってそれを拒んだ。
「A、また頼む…」
少し震えた声。やはり、怖いのだろう。
「そんなに怖がらんでも、直ぐに引き離す」
「うぅ…」
まるで産まれたての子鹿のように震えている男の足。不謹慎だが、少し笑えてしまった。
そして数分もしないで、男の足にいたものはその姿形を消した。
「今回は、殺してしまったんですか…?」
「いや、場所を変えてもらったんじゃ。
この男の側よりも、もっといい場所があると言ってのぉ」
これで大丈夫。そう言って狐は再び俺の手をとった。
「いやぁ〜助かったぜ〜。
気が付いたら足にいたからよ、驚いた勢いで全賭けして負けちまった……」
それは自業自得だ。
取り憑かれたことと関係ない。
俺はそう思ったが、あえて言わないでおくことにした。
「…にしても、お熱いねぇ〜お二人さんっ!」
まるで酒を入れたオヤジのような絡みからをするギャンブラー。
それに対して俺は、からかう事も、巫山戯ることも出来ずに照れてしまった。
「帝統、あんまりわしのをいじめんでくれんかのぉ。このとおり、リンゴみたいになってしまった」
「悪ぃ悪ぃ。ついな!」
全く悪いと思っていないその顔面に拳を入れてやりたい衝動に駆られたが、それは繋がれている手に寄って叶わなかった。
89人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふぃっく - 一番気になるところで終わるのがウズウズします!!!!!!ぜひ続きを書いてください! (2023年4月16日 14時) (レス) @page38 id: 634615dde5 (このIDを非表示/違反報告)
心春(プロフ) - ロールロールさん» コメントありがとうございます。最近更新出来ずに申し訳ありません…。近々更新致します。あたたかいお言葉ありがとうございます。 (2020年4月5日 12時) (レス) id: 3f9e794f84 (このIDを非表示/違反報告)
ロールロール - はじめまして!とても楽しみに更新待ってます!体調管理に気をつけてください!応援してます。頑張ってください。 (2020年4月5日 0時) (レス) id: d8adda4a88 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:心春 | 作成日時:2020年1月12日 9時