第47話 忘れ物 ページ4
善逸side
俺が忘れ物に気づいたのは、Aの家を出てから自身の部屋のドアノブに手を掛けた時だった
「ない……」
何時も学校鞄に取り付けていた、うさぎのぬいぐるみ
男があんな可愛い物を付けるだなんて引かれるから普段は見えない位置に付けていたから、気づかなかった
学校? いや道端か? ……Aの家か
言うて家に着いてからまだ1時間も経っていない。
Aはまだ寝ているだろうし……取りに行くか。
俺は服を着替え直し、Aの家へと向かった
▽▽
「着いた……」
やっと着いたのは少しばかり古いアパート
Aは二階の真ん中に住んでいる
俺はギシギシと軋む階段に足を掛け、順調に登っていく
登り終えたら踵を返し、Aの部屋へと向かう
寝てくれてたら嬉しいんだけど……
ドアノブに手を掛けた時
中から物音がするのに気付いた
「……2人?」
耳を澄ませたら2人の息が確認出来る
1つはAのものだろう、寝息だ
2つは……は?
音を聞こうとドアに耳を付けた
慎重に、心を落ち着かせて聞いたら
軽い、リップ音が聞こえたのだ
俺は固まったまま、数秒動けずにいた
開けるべきか?
いや、まず誰だ
音、音だ。音を聞こう
「A……」
再度耳を澄ませたら、Aの名をそれはそれは愛おしそうに
王子が眠る白雪姫にキスを落とした時に
うっとりと恍惚の笑みで呟くような
甘ったるいそんな
俺はそれを聞いた瞬間、ドアノブに掛けていた手を下ろし、踵を返した
▽▽
濁りかけの藤黄色の瞳が虚ろに 黒く四角いフィルムに写る
「……」
フィルムガラスに写った自身の顔さえ見えない程に、善逸は視界を暗くした
なんで炭治郎がいた?―――何故リップ音が?
キスをしたのか?―――何処に?口か?
他に人は?―――いや居ない。
様々な疑問が頭を駆け巡っては答えを探す
あの時、入るべきだったのだろうか
そのまま帰って来てよかったのだろうか?
Aは……気付いていないのか?
「はぁ、もういいや……」
頭を使い過ぎては眠れない
俺はスマホをテーブルにコトンと置くと
電気を消して眠りに着いた
▽▽
368人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まいまい(プロフ) - 更新待ってます (2021年1月14日 22時) (レス) id: ab72577554 (このIDを非表示/違反報告)
pooky - 面白い!続きが気になる! (2020年10月20日 6時) (レス) id: 012e567f90 (このIDを非表示/違反報告)
しおりんご - うぅ!続きが気になる! (2020年10月12日 0時) (レス) id: b3900f2f00 (このIDを非表示/違反報告)
sayakanohimawar(プロフ) - とっても面白いです!他の方が仰られるように、どハマリしますね!学校帰りに見つけて、読み始めて、気づいたらもうこんな時間!?ってなりました。。できれば早く続きが見たい!!です!更新よろしくお願いします!!頑張ってください! (2020年7月16日 17時) (レス) id: d2b0ff775b (このIDを非表示/違反報告)
MIKA(プロフ) - ありがとうございます!見てみたら本当でした……寝ぼけてたんですかね、御報告助かります(泣) (2020年6月4日 19時) (レス) id: dd92ad6562 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:MIKA | 作成日時:2020年4月25日 10時