伊之助との出会い(過去編2) ページ18
「ｽｩ……ｽｩ……」
布団に横たわり、気持ち良さそうに寝息を立てる少女を見て、伊之助は安心する。
顔はまだ色白いままだが見つけた時より大分顔色が良くなった。
元が白いのかもしれない。自分と同じだ。
さらり
寝ている少女の髪を払うと、少し汗ばんでいるが綺麗な髪だった。
傷んでいるし、毛先がバラバラだが
絹糸を思わせるような艶やかさはあった。
生きててよかった、伊之助は心底ほっとした。
▽▽▽
「はっ……」
待てよ、なんで今俺こんなこと……
此奴がどこのどいつかもしんねーし、ほって置いたまま死んだって自分には関係ないじゃないか。
ただ見かけただけ、そんな女に……何故？
伊之助は自分の胸に手を置いて考えた。
なのに俺、ジジイになにがなんでも守るとか……あぁ、くそ。
やり場のない怒りが込み上げる。
どうしようも無くモヤモヤする謎の感情に、だ。
「う"……ぁ"……」
「！？」
考えてるうちに、少女から呻き声の様なものが聞こえた。
「お、おい。大丈夫か」
どうしていいかわからず、取り敢えずお爺さんとたかはるを呼んだ。
▽▽
「魘されてるな……」
さっきから苦しそうな声ばかり上げている。
「や"....め...痛い...」
少女は額から汗を流し、目からは雫を流している。
苦し気に唇を噛んで、身を攀じる。
少女に何があったのかは知らないが、夢でまで魘されているということはかなり酷い目にあったのだろう。
少女の目は赤く腫れており、黒い隈も出来ている。
痩せた顔や腕、足も。
綺麗な顔をしているのに、もったいない
「……大丈夫だ」
伊之助は、眠る少女の手をぎゅっと握ってやった。
女は弱々しく、だが、強く伊之助の手を握り返した。
▽▽
「ｯｯ……!!？ はぁっ……！！」
いきなり、女が飛び起きた
お爺さんも、たかはるも、伊之助も。
皆がビックリした。
「……っ！？ ……？？？」
辺りを見回し、目を丸くさせる。
いきなりの事に混乱しているのだろう。
女は手を握っていたのに気づくと、すぐに払い除け部屋の隅へと逃げた。
腕で自分の身を守る様に、隙間から3人を睨みつけた。
「……ここには、君を傷つけるモノはいない」
お爺さんは優しく言った。
「……」
女はずっと黙っている。
「……アイツは？」
暫く黙った後、少し考えたのか間を開けて問うてきた。
アイツ、とは誰だかわからないが、居ない。と答えた。
そう。と短く発言した後、女は体勢を直し、布団を畳んだ。
伊之助との出会い(過去編3)→←第14話 伊之助との出会い(過去編)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 134人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆう(プロフ) - すきです！！？！！、！！！！！！ (2020年3月25日 16時) (
レス) id: 9e2e290c18 (このIDを非表示/違反報告)
MIKA(プロフ) - ゆうさん» 駄作ですが嬉しいです(*^^*) おかげで更新頑張れます！ (2020年3月23日 17時) (レス) id: dd92ad6562 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - このお話好きすぎてやばいです！！きゅんきゅんします！！！ (2020年3月23日 16時) (レス) id: 9e2e290c18 (このIDを非表示/違反報告)
MIKA(プロフ) - ゆうさん» わぁぁぁありがとうございます(泣)コメント嬉し過ぎてにやけ止まりませんほんと、素敵なコメントありがとうございます！これからもこの作品をよろしくお願いいたします(*^^*) (2020年3月23日 0時) (レス) id: dd92ad6562 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - どきどきします>_<すてきです！！ (2020年3月23日 0時) (レス) id: 9e2e290c18 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：MIKA | 作成日時：2020年3月21日 2時
