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伊之助との出会い(過去編3) ページ19

「……布団、ありがと」

冷たく言い放った後、着物を引き締めて、扉へ向う女の手を

伊之助は無意識に掴んでいた。

「……っ!?」

猪の顔にビックリしたのか、ビクリと肩を震わせた。

「な、なに……」

「待てよ」

「嫌」

女はなんとか伊之助の腕から逃れようと頑張るが、力の差は歴然で虚しく終わる。

「離して」

「離すかよ」

「お、お前等……」

離そうとしない伊之助をきりっと睨みつける女と、負けじと腕を離さない伊之助。

呆れるたかはる。

「君はまだ傷が癒えている訳じゃないんだ。傷が治るまででいい、安静にしなさい」

お爺さんが優しく言った。

「傷??」

女は傷なんてあったか、なんて胸元を広げる。

たかはるは顔を赤めて横を向いた。

「そこの傷もだがそこじゃない、下半身から血を流していたんだよ」

「……ふぅん」

言われてみれば痛いな、なんて小声で呟く女。

随分態度が悪い。布団のお礼は言ったが運んだ俺への礼がない。

「おい」

「なによ」

「俺への感謝はねーのかよ」

拗ねたように言えばあんたがなにしてくれたのよって睨まれる。

「はぁん!? お前が山にぶっ倒れてたのを俺様が運んでやったんだっつの!!

命の恩人になんちゅー態度してんだ殺すぞ!」

つい伊之助もカッとなり声を荒らげる。

「……」

女は顔を背けてなにも言わない。

「なんかいいやが……れ?」

顔を振り向かせようと無理やり顔を掴んだら、女の目には涙が溜まっていた。

「な、なんで泣いてんだよ」

俺が泣かせたみてぇじゃねぇか。

「お、おい。くそ猪……」

たかはるもさすがに焦る。

「悪かったわね、あんたに殺されるくらいならそのままほっとかれて死んだ方がマシよ!」

伊之助の手を叩き、裸足のまま縁側を通して山へと消えてしまった。

「追いかけた方が……」

たかはるがいう。

お爺さんは黙って様子を見ていた。

「ふ、ふんっ……なんだよあの女! 助けてやったのに礼の1つもねぇんだぞ!」

知るか、と伊之助も山へと消えていく。

たかはるはどうしたらいいものかと考えた。

▽▽▽

星たちが瞬く夜空。

月も凍るような冷えついた寒さ。

伊之助は一人、洞窟で女の事を考えた。

あの女は裸足で、布切れ1枚で捨てられていた。

そこそこいい所のお嬢さんだろう、布地は綺麗だった。

如何にも箱入り娘、って感じ

そんな奴がこんな荒々しい山に1人で大丈夫なのだろうか。

▽▽
長くなります、すいませんっ

お気に入り、いいね感謝です……!!

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設定タグ:鬼滅の刃 , 嘴平伊之助 , 竈門炭治郎   
作品ジャンル:恋愛
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ゆう(プロフ) - すきです!!?!!、!!!!!! (2020年3月25日 16時) (レス) id: 9e2e290c18 (このIDを非表示/違反報告)
MIKA(プロフ) - ゆうさん» 駄作ですが嬉しいです(*^^*) おかげで更新頑張れます! (2020年3月23日 17時) (レス) id: dd92ad6562 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - このお話好きすぎてやばいです!!きゅんきゅんします!!! (2020年3月23日 16時) (レス) id: 9e2e290c18 (このIDを非表示/違反報告)
MIKA(プロフ) - ゆうさん» わぁぁぁありがとうございます(泣)コメント嬉し過ぎてにやけ止まりませんほんと、素敵なコメントありがとうございます!これからもこの作品をよろしくお願いいたします(*^^*) (2020年3月23日 0時) (レス) id: dd92ad6562 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - どきどきします>_<すてきです!! (2020年3月23日 0時) (レス) id: 9e2e290c18 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:MIKA | 作成日時:2020年3月21日 2時

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