大切な人の席【江戸川乱歩】

23席 ページ43

太宰side

｢それから？｣

｢眠たくなってきた。寝るね｣

急に話を辞め、Aさんは帰ってしまった

先程の顔を見た限りだけど…この後の話は彼女にとって1番避けたいことだろうね

知られたくないことを聞くのは失礼だ

然し…あぁあ私まだ眠くないんだけどなぁ

お酒でも呑んで寝ようかな〜、あっ昨日取ってきた茸残ってた筈だ

其れをつまみにしよ〜

＿＿＿＿

朝が来て、国木田君に愚痴愚痴云われながら出社すると何時もいる時間帯なのに

｢今日、Aさん休みなんですかね？｣

｢んー何だろうね？｣

｢寝坊……でしょうか？起こしに行った方が｣

起こしに、ねぇ？

乱歩さんの方を見て見る。いつも通りの表情をしているが、多分心配してるのだろう

駄菓子を食べるのが遅いね。わっかりやすーい

｢私が行こう｣

｢……其の方がいいね｣

…之はびっくり。てっきり僕が行くって云うのかと思った

これは、若しかしなくても昨日聞いてしまったことでごんなことになってしまった

直ぐにでも謝りたいところだが…私が行っていい状況では無さそうだね

美しい女性を傷つけてしまった。何かお詫びのものと一緒に持って行って謝ろうか

｢だ、大丈夫でしょうか？｣

｢安心し給え。何せ社長が行くんだからね｣

｢そうもそうだが……何時になったら仕事に手をつけるんだ！！唐変木！｣

｢私は今心の中が忙しいのだよ！｣

事実！心がすっっっごく痛いよ！わかって！？

｢心の中……！御前また心中を！｣

｢何で信じてくれないの？！｣

｢(日頃の行い…)｣

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