大切な人の席【江戸川乱歩】

10席 ページ27

乱歩side

あー暇

なんか事件起きればいいのに…ポテチ無くなりそ…

「敦、Aさんはどこいった？」

「え？用があると…あれまだ帰ってきてない？」

辺りを見回す敦を横目に今朝の新聞の四コマ漫画を読んでいた

Aの事だし、気ままに歩いているんだろ

あと30分の辛抱だ。待ってるか

うわっ今日の四コマ漫画面白くない

「乱歩さん、探しに行かなくていいのかい？」

「え〜？待ってたら帰ってくるし、大丈夫でしょ」

「いいのかい？変な輩につるまれてるかもしれないよ」

「いいの！Aは、ちゃんと無傷で帰ってくる！」

口から付き合ってるから判る！と出そうになった

云ってしまえば後々面倒くさくなるから飲み込み、その代わりにため息が出てくる

ちょっと…やってしまった。大宰の顔もニヤニヤし始める

「善いんですか？けど、私心配なので迎えに行こっかなぁ？」

スキップしながら外に行こうとする背中を見ているといてもたってもいられなくなり、太宰より早くドアノブを掴む

「え？！乱歩さん何処「外！」は、はい！」

エレベーターに乗り込み外に出る

流石に太宰はいなかった

「おっ？なんだ？家出か？」

呑気にからかってきたAの頭を軽く叩く

何も判っていないAは、口を開け僕を見ている

「僕に渡すものあるよね？」

「…ちぇ。面白くなーい。ほら」

籠の中に沢山の花が並んでいるものをくれた

これを買ってたから遅くなってたんだ。まっ知ってたけどね！

「Aの割にはいいセンスじゃないか！ふふん」

「君って単純だよね」

一言多いなぁ！

気分いいし許すけど！

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