大切な人の席【江戸川乱歩】

22席 ページ40

Aside

自分の息を飲み込む瞬間に目が覚めた

2時？うわ、変な時間に起きてしまったな

ある日を境に時々見るようになった悪夢が、極彩色で目の前に現れてた

寝れないや。けど、寝ないと仕事中に寝ることになってしまう

寝たら……

｢外行くかぁ｣

夜風が冷たく僕の横を通り抜ける

｢おや？Aさん？｣

｢包帯君ではないかぁ。寝ないのかい？｣

何時も見ている服装では無いから少し違和感がある

この人四六時中、包帯巻いてるの？暑くない？

｢目が覚めてしまいましてね。Aさん、あなたは寝ないのですか？｣

目が覚めてる……嗚呼、この人寝てたな。バッチリ3.4時間ぐらいは寝てた

｢まぁね。寝るのは好きだけど、嫌いなんだ｣

｢そうでしたか…1つ聞いてもよろしいでしょうか？｣

｢別にいいよ｣

物静かに佇んで、僕達を見ている月を眺めながらそう云った

｢昔、何かあったのですか？｣

直ぐには答えられなかった

彼奴来てからずっと思っていたんだろうな。気配で少し勘づいていた

｢ん〜聞くかい？面白味もないよ？｣

｢大丈夫ですよ｣

微笑み乍、話を聞く体勢に入った包帯君

この美貌に何人の方が落ちたのか知りたい

｢さてまぁ、ざっとしか話せないけど…善いよね？｣

いざとなると話すのは抵抗があるな

けど、いいか。乱歩の過去は云わ無いようにしながら話すか

小さい椅子→←小噺

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す