大切な人の席【江戸川乱歩】

0席 ページ16

乱歩side

何も考えれない

気が遠のく程の空気の悪さ

吐き気がする

「A、さん！落、ち着い、て！」

「厭に決まってる！うざったるい！あんな奴なんて…！」

敵視してる奴が倒れ込み、もがき苦しんでる

敦の声も辛そう

何か、何か…

「あっ…」

その言葉以降、彼奴の声が聞こえなくなった

気絶であってほしい

ふとAを止めれる言葉が出てきた

「A…！A、の母上と、父上が悲しむぞ…！」

僕の声が届いたのか、一気に空気が軽くなる

すかさず太宰が、異能力で止める

彼奴は死んでなかった

僕が思っていた通り気絶してるだけ

「っ……」

「Aさん！」

「ま、待って…！」

居てもたっても居れなくなったのだろう、Aが出ていった

与謝野さんから追いかけなと声がかかる

僕もそうしたい…そうしたいけど

吐き気が収まらない

可笑しいな、気分が戻らない

「あ…僕」

「乱歩さん？」

国木田が近寄り僕の背中をさすってくれる

「僕、Aの隣に居る資格ない」

稀に無条件で襲うことがあってもこんなに長続きしたことがなかった

沼にはまった様に変な思考が溢れる

直ぐ止めとけば

嫌気がさしたのか、与謝野さんが僕を扉の外に出て

「Aを連れてくるまで入れないよ」

そう吐き捨てて扉を閉めた

未だ吐き気がする、けど

「A連れてくるか」

1席→←5席

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す