参の巻 ページ4
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「そのようなことを聞いてなにになります?」
私は微笑みながらあえて優しい口調で言った。というかこいつ、肝が据わっている。
普通大御所の前で吉原を否定する言葉は言わないだろう。と思ったら大御所は花魁に夢中で気が付いていない。
なかなかしたたか、かつ大胆。大御所に好かれるわけだ。
「そなたの目が他のものと違ってな。」
そして人の気持ちを見抜く力があるらしい。私は少々感心してしまった。
「働くことがつらい、と申したらどうなりますか?」
耳元で囁くと、渉_____と呼ばれた大大名は待っていましたと言わんばかりの笑みをみせた。
「面白い女だ。」
そして着物を翻し、大御所の元へ帰って行ってしまった。
せっかくお客が出来たと思ったのに、いや、あいつには期待しない方がいいか。見るからに女と戯れるようなやつではない。
それより、他にやってきた野次馬に目を向けよう。きっと欲求不満の奴らがたくさんいる。
私は心を整え、もう一度お客と向き合った。勿論、翡翠の目が心に焼き付いて全く集中できなかったがな。
三味線のお囃子が鳴り響き、吉原が最も輝く「夜見世」が始まった。
昼間のにぎやかさとは打って変わり、妖艶な雰囲気が遊女をまとう。
そして、下心丸出しな武士や町人などが来て、指名された遊女は二階に上がっていく。
「そなた、今日の昼ぶりだな。」
格子越しに話しかけてくる人、目が合い、小さく笑いかけてくる。
「今日の・・・。」
「しっ、あまりうるさくするな。お忍びで来ているんだ。そなたに興味を持ったからな。今日は来てみた。」
まぁ確かに大大名が来るところじゃないもんな。普通、正室や側室をもって自室で行為をするのが普通なはず。
そして何より、こいつは私に興味を持ったらしい。
「あまり女に興味がなさそうなお顔をなさっておりますが?」
「女には興味はないが、お前にはなにか魅力を感じてなァ・・・っと、お兄さん。この子、貰っても大丈夫か?」
「ええ。って、貴方は・・・・?」
吉原の町にも負けないくらい、とても美しい顔をして。
こいつはなかなかずるく、手ごわいやつだ。
「そなた、俺とお手合わせをしてくれぬか?」
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イチゴミルクキャンディ@サブ垢(プロフ) - PE@みたらし団子バカさん» わー!ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年8月18日 19時) (レス) id: e98fc17c66 (このIDを非表示/違反報告)
PE@みたらし団子バカ - 更新頑張ってください! (2019年8月17日 19時) (レス) id: b72e644e8b (このIDを非表示/違反報告)
PE@みたらし団子バカ - これは私の好きな種類の話だ! (2019年8月17日 19時) (レス) id: b72e644e8b (このIDを非表示/違反報告)
いまりちゃん - もでらーと。さん» ありがとうございます!!(パソコンから返信しています。)そしてそしてもでらーと。様は様々な小説を書いていらっしゃるのですね!お星さまが坂田さん色で憧れます(笑)更新頑張ります! (2019年8月3日 22時) (レス) id: 42f8b00619 (このIDを非表示/違反報告)
もでらーと。(プロフ) - おもしろいです…!私、歴女&crewなので超嬉しい組み合わせです!更新楽しみに待ってます! (2019年8月3日 18時) (レス) id: 5d5b1bd419 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イチゴミルクキャンディ | 作者ホームページ:プロ野球
作成日時:2019年7月20日 20時