卅伍の巻 ページ46
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宴会が終わり、廊下を何も考えずほっつき歩いていると一人の女の姿が見えた。
俺はその女が誰かすぐわかった。今日、うらさんからの寵愛を受けて俺らの仲間になった津々楽和歌ちゃん。
正直、うらさんは和歌ちゃんと知り合ってから変わった。武芸一本だった時に比べると少しばかり心に余裕ができたようだ。家臣への気遣いの言葉が増えたようにも見え、夜に物思いにふけることも多くなった。
うらさんは気づいておらへんが、うらさんは和歌ちゃんに心を奪われかけている。
武芸一本で生きてきたうらさんをどうしてここまで変わらせたのであろうか。気になって仕方がなかったのだ。初めて会った時から。
「あ、和歌ちゃんやん。どこいくん?こんな夜遅くに。」
そう声をかけると切れ長の目をこちらに向けてきた。一見睨んでるようにも警戒しているようにも見えへんくもないが・・・・きっともともとこういう目をしているんやろう。こういうやつはほかにもおる。例を挙げるならうらさんだ。
今、廊下だとは言え人は誰もおらず静まり返っている。普通ならば家臣や姫は寝入る時間や。さて、和歌ちゃんはどう動くのやろうか?
「あぁ、渉様のところにな。」
ほぉ、うらさんに呼ばれて・・・・随分とうらさんも攻めるなぁ。それだけ和歌ちゃんが気に入ったということなのだろうか?まるで正室のような扱いやんか、と俺は口の中で言う。
「へぇ、召し出されたんか。初日からようやるなぁ。うらさんもなかなか積極的なんや。」
和歌ちゃんはすでにうらさんに惚れているのやろうか、もう身も心もうらさんに捧げる気なのであろうか。
そう思うとちょっと嫌や。なんでなのだろうか、それはようわからんが・・・・。
もしかすると、俺ももう和歌ちゃんに心を奪われかけているのかもしれへん。いいやそれはないな、だって出会ってまだちょっとやし?俺そんな単純馬鹿やないし?え?
「あっそ、」
冷たい返事だ、ちょっぴりからかいすぎただろうか。反省はしているが後悔はしてへんな、和歌ちゃんの反応面白いし。
どことなく、うらさんに似てんねんな・・・・だからうらさんも気に入ったのやろうか。そうなるとちょっと納得いく。
「和歌ちゃんも気を付けた方がええで、狼はいつくるか分からへんからな。」
そう、今和歌ちゃんが会おうとしているやつにも、そして横の俺にもな・・・・なんつって??いやー、ほんま和歌ちゃんおもろいわ。
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イチゴミルクキャンディ@サブ垢(プロフ) - PE@みたらし団子バカさん» わー!ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年8月18日 19時) (レス) id: e98fc17c66 (このIDを非表示/違反報告)
PE@みたらし団子バカ - 更新頑張ってください! (2019年8月17日 19時) (レス) id: b72e644e8b (このIDを非表示/違反報告)
PE@みたらし団子バカ - これは私の好きな種類の話だ! (2019年8月17日 19時) (レス) id: b72e644e8b (このIDを非表示/違反報告)
いまりちゃん - もでらーと。さん» ありがとうございます!!(パソコンから返信しています。)そしてそしてもでらーと。様は様々な小説を書いていらっしゃるのですね!お星さまが坂田さん色で憧れます(笑)更新頑張ります! (2019年8月3日 22時) (レス) id: 42f8b00619 (このIDを非表示/違反報告)
もでらーと。(プロフ) - おもしろいです…!私、歴女&crewなので超嬉しい組み合わせです!更新楽しみに待ってます! (2019年8月3日 18時) (レス) id: 5d5b1bd419 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イチゴミルクキャンディ | 作者ホームページ:プロ野球
作成日時:2019年7月20日 20時