逃避行の終着点 ページ6
「ねえ、ハクチョウ!あそこいきたい!」
「ちょ、は、ぁ…まって、よォ」
はあはあ、はあはあ
息を静かにする方法なんて今のおれにはない
今はただ、あの暴れん坊を止めることしか考えてはいけないんだから。
ぱらぱら、ぱらぱら
「あっ!ハクチョウ!雪!雪だよ!!」
「あ、ばれんぼう!!ちょっと待って!とまって!ストップ、ストーーーップ!!!!!」
「うるさいよハクチョウ」
「……あとで覚えときなよォ暴れん坊」
きゃらきゃらと笑う暴れん坊を見て、おれも笑う
なんだか、もう、ぜんぶが馬鹿らしくなって笑う
小さな小さな頭に積もる小さな雪
何日か前から降ってた雪は、おれとあの子の足の絨毯になっていた
ここに来るまで何度も見たはずの雪に、あの子は何度も喜んでいた
一面の銀世界とは言えないけど、それでもきれいな色
あの子が好きな色
…
「ねえ、はくちょう、」
シラトリと読めないあの子が、アヒルにつけたハクチョウという名前
「もっとさ、」
嬉しいが漏れる声
「さむいところにいこう」
「うん、いいよ」
続く お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
←夢落ち
2人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:欲望野郎 | 作成日時:2021年12月20日 20時