検索窓
今日:16 hit、昨日:6 hit、合計:5,031 hit

6 ページ6






「ぬるいな」



試合のハーフタイム。
長谷部は腕を組みながら顎を僅かに上げる。
その仕草は傲慢な野郎で、しかし美貌の長谷部に酷く似合っているものでもある。
フィールドを眺めてながら独り言のように呟かれた言葉にはどんな意味があるのだろうか。




相手? それとも自分か。
絵心はそんな長谷部をジと見つめると視線に気がついたらしい長谷部は「俺はまだまだ先にいけるぞ」とかっこよく笑った。その仕草にて、アァ 自分に向けた言葉なのだと絵心は理解する。
そんで、すぐに目から炎が出るかってくらいに睨みつけながら「誰にものを言っている馬鹿め」と長谷部のユニホームを掴む。この馬鹿は勘違いしている。それも絵心のプライドを刺激するタイプのもの。



「俺がお前を使ってやってるんだ。ご主人様の命令には背くなよ、アホ犬」



絵心は噛み付くように言う。負けず嫌いな男だ。
誰よりも自分主義、しかしその態度は不思議と嫌いではない。長谷部は絵心に掴まれたままジューと水を含む。
「そうか」と呆気なく言えば絵心はため息を零した。何故ため息なのだ。絵心の態度に初期刀殿を思い出してしまう長谷部は思わず眉間に皺を寄せてしまう。




「お前は俺の主じゃない」
「……」
「俺の主は俺が決める。そこに他意はない」



絵心の腕を乱暴に振りほどいた長谷部はフンと鼻を鳴らしながらコートへと向かった。
そんな長谷部の背中を見つめた絵心は小さく心に怒りを抱く。俺がお前にサッカーを教えたのだ。俺のパスがお前を天才にしているのだと、あの馬鹿犬に教えなければいけない。



俺こそがお前の主だと。
そんな小さな独占欲は確実に絵心の中でうまれつつある。まだ幼い絵心はそれを怒りと捉えた。分かった、やってやるよと長谷部の背中を追うようにコートへと向かう。
こうして、二人は今日もまた勝利を収めるのである。

続く  (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう

←5



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (21 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
63人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:やや強め | 作成日時:2023年7月5日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。