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「なぁ・・・お前、Aのこと好きなのか?」



藤ヶ谷の顔に、一瞬だけ、苦々しそうな表情が見えた


けど、すぐに冷静さを取り戻したように澄ます




「俺らはただの、幼馴染だ。好きとか、そういうんじゃねぇ。ただ、昔から俺はあいつの兄貴代わりとしてずっと面倒見てたんだよ。家族のいないあいつのために・・・」




は?

Aには家族がいない?


初耳だった




驚いた顔をしているであろう俺の表情を見て、藤ヶ谷が察する



「え、お前、聞いてないの?」


「あ、あぁ・・・」



「思い知ったろ。所詮、そんなもんなんだよ、お前は」




何も言えない


Aは俺には全てを見せてくれていると思ってたから


藤ヶ谷の一つひとつの言葉が、針のように刺さる






「父親は事故で亡くなって、一人で耐えきれなくなった母親は育児放棄。しまいには男連れ込んで、居場所が無くなった。そして、Aを邪魔に思った母親は、」




あんたなんか産まなきゃよかった






父親が居ないのは俺と同じ境遇だ

けど、その分、母親に愛されて育った俺は、そんな残酷な言葉とは無縁だった




「だからほっとけないんだよ。昔も今も、大事な・・・幼馴染だから」



「お前さ、」



Aのこと、本当は好きなんだろ




そう言いかけた言葉は、宙を舞った







じゃあな、と言って去った藤ヶ谷のタバコがじわじわと灰と化していく


藤ヶ谷の言葉に侵食されていく、俺の心を表しているようだった

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たまっち(プロフ) - nanacoさん» 初めまして、たまっちです!ご感想ありがとうございますm(_ _)m初コメですごく嬉しいです!今後もぜひ、展開を楽しみに読んでいただけると幸いです(o>ω<o) (2020年2月23日 2時) (レス) id: 94d0777d49 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - 初めまして(*^^*) 今日ランキングで見つけて、ここまで拝読しました(TT) 不倫ものなのにドロドロしてなくて胸が苦しくなります(;ω;) (2020年2月20日 19時) (レス) id: d77fcd2775 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たまっち | 作成日時:2020年2月7日 22時

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