突然の提案 ページ7
ショッピングモールは、思いのほか混んでいて、目当てのものを買うのにかなり時間がかかった。
それでも、生活用品と何着か服を買うことが出来た。
結構な量の買い物をしたから俺も須崎さんも両手に荷物をたくさん持っていた。
背の低い須崎さんは目を離すとどこかにいなくなってしまいそうで。
「……須崎さん。」
俺はふと、彼女を呼んだ。
「手を繋がないか？このままだとはぐれてしまう。だから、手を繋いでおけばはぐれなくて済むと思うんだが。」
そう提案すると、彼女は俯いた。
何か、不味い提案だったろうか。
成人の男女が手を繋ぐなど、そういう関係でない限りやらないことだ。
我ながら大胆なことを申し出たという自覚はある。
が、はぐれられても困る。
どうしたらよいか…そう思いあぐねていると、彼女が唐突に顔を上げた。
「ま……松野さんが、いい、なら」
彼女が真っ赤な顔でそう言った。
あ。
かわいい。
そう思った。思ってしまった。
自然と口角が上がった俺は須崎さんの荷物を持って、片手に全部持ち替え、手を差し出した。
彼女は真っ赤になりながら、恐る恐る俺の手を握った。
「須崎さんの、欲しいものは？」
＊＊＊
彼女は本屋さんに行きたい、と小さな声で言ったので、本屋に向かった。
「あの……松野さん、他のお店に行ってもいいですよ…？」
「いや、俺も本や雑誌を見たいから、気にせずに好きな本選んでいてくれ。」
俺がそう言うと、嬉しそうに文庫本のコーナーに向かった。
彼女の知らない一面を知るたびに嬉しくなる気がした。
唐突な誘いとか、自分の予想ができないことが起きると俯いて顔を真っ赤になるところ。
自分のしたいことは小さな声で主張するところ。
本が好きで、キラキラした目で本を見るところ。
思い出すたびに自然と口角が上がる。
口角が上がってから、我に返る。
これでは、ただの変態じゃないか。
邪念を振り払って、目の前の雑誌を手に取った。
ただ、この時間が彼女にとって楽しければいいな。
そう思った。
欲しい本を買って戻ってきた彼女が嬉しそうに本を抱えていた。
「ありがとう。好きな本の続き、買えました。」
彼女が嬉しそうに笑った。
その顔に俺も自然に口角が上がった。
「じゃあ、ご飯の買い出しに行こうか。」
俺の提案にそうだね、行こう？
と彼女が俺の手を握った。
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煌(プロフ) - ふぁんさん» コメントありがとうございます！面白いと言っていただけて何よりです！更新またしていくので宜しければ今後ともよろしくお願いします！！ (2017年5月3日 2時) (
レス) id: 2662da27fb (このIDを非表示/違反報告)
ふぁん - すっごいおもしろいッス！頑張ってください！ (2017年5月1日 18時) (レス) id: 5958ddd28c (このIDを非表示/違反報告)
煌(プロフ) - みかタンさん» ありがとうございますー！まだ1話しか書いてないのにコメントが来るとは思ってませんでした笑笑そう言っていただけて嬉しいですけど本当何番煎じだよってビクビクしてますよ笑笑これからも拙作ですがよろしくお願いします！ (2017年3月9日 22時) (レス) id: e7cdd2f049 (このIDを非表示/違反報告)
みかタン(プロフ) - すごく面白いです!!これからも楽しみにしています（私も占いツクールで小説を書いていますが、その発想が羨ましい限り!!) (2017年3月9日 22時) (レス) id: 0fde922cd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：煌 | 作成日時：2017年3月9日 1時
