紫水晶の疑問 ページ9
〈志麻〉
『本当！？いいの！？やったー！！』
と喜ぶAに坂田がよかったな！と声をかけている
〈いや…なんでこのタイミングで時計を見せるって言ってんのか、コイツわかっとるんか？…〉
と坂田に視線を向ける、俺と同じように何かを察したらしいセンラも坂田達を見ていた
「あぁ、もちろん…さぁ、こっちだ」
そう言ったうらたさんはボトルシップが置かれていた机の横を通って壁の装飾に手をかけるとそれを押し込んだ
ガコンッと音がして壁が横にずれると展望室への階段が現れる
「おい坂田、お前は船の魔力が戻ってるか確認ついでに魔法で埃払ってこい。」
「まーしぃは坂田のサポートと錨と帆の確認を頼む」
「センラは俺と来い、航路の確認するぞ、確認出来たら二人に情報共有しといてくれ」
うらたさんの指示にそれぞれが返事をしたところでAの姿が視界に入った
〈あー、まぁ、うらさんとセンラがいればなんとかなんだろ…〉
と考えを放棄してソイツに、またあとでなー、と声をかけている坂田の肩を叩いて先に部屋を後にする
ーーーーーー
「なぁ、まーしぃ…あの子、このまま一緒に航海してくれんかなぁ」
うらさん、そのつもりで時計見せてくれてるとええなぁー
そう呟いた坂田に何も考えていなかった訳でも気付いていなかった訳でもなかったらしい、と驚きつつ
「さぁな、それはアイツが決めることやろ？…それにしても随分お気に入りやなぁ」
そう返すと
「だって、面白いやん？…全然怖がらんし、てか俺ら(他種族)に囲まれても普通にケロッとしてるし…」
「あそこまで警戒心ないと俺のが気になるもん…手元に置いときたいってなったん、初めてや…」
と、これまた驚く答えが返ってきた
〈確かに、いくら恐怖に鈍い種族だからってあれは違和感あるわな…〉
警戒心の欠片もなく、ましてやそこまで力がある訳でも無さそうなアレの様子は同族から見ても奇妙なんやないか…と考えながらも…
「今はうらたさんに言われた仕事優先や、はよ終わらすぞ」
坂田にそう声をかけて考えを振り払うように歩きだした
紫水晶と紅玉の会話ーー
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作者名：空木 | 作成日時：2019年3月1日 3時
