私の家族 ページ15
『へー、仲間ってすごいね！』
悪魔によって小悪魔が生み出される理由は大きく分けて二つある。
一つ目は寿命が無いことによる苦痛を癒すための娯楽…人間だと愛玩動物を飼う感覚に近いもの。
二つ目は魔術や薬学などの知識を与え自分の補佐をする人材を確保するものだ。
上にあげた二つが主な理由なので、[仲間]という感覚をAが知らないのも無理はない
悪魔(小悪魔含む)や屍人(グール)のようにそれぞれ自立して自由に暮らす種族は仲間という概念を持たない
しかし人間と同じように繁殖し、集落を作り暮らしている獣人や妖精、人魚のような種族は仲間や家族という概念を持つ
「まぁ、俺も最初は仲間ってやつ、あんま理解してなかったわ」
センラもそうやったやろ？、と言う志麻さんに
「はい、でも今は少しわかるような気ぃしてます」
と少し恥ずかしそうにはにかむセンラさん
「俺は最初からわかってたで！仲間！」
と自慢気な坂田さんに
「いや、絶対わかってなかっただろ…」
うらたさんが苦笑いしながらそう言う
お、センラ照れとるんか〜？
照れてないですっ！
もー、うらさん！一言余計やで！
俺は事実を言ってるだけだろ
騒ぐ彼らに可笑しさと、新しく知った仲間が好き、という気持ちで胸がいっぱいになるのを感じた
『ふふっ、仲間かぁ』
「「「「……！」」」」
急に口を開いた私に四人が動きを止めてこちらを向く
『…私を、この船に乗せてくれてありがとう』
《本当に、今日は最高のハロウィンだっ》
ーーーーーー
〈坂田〉
『ありがとう』
まただ、さっき二人で話した時と同じ…
(Aが笑うと、ここがぎゅってなる…)
服の胸元を意味もなく握る
(たぶん、うらさん達もこうなっとるんやろうなぁ)
他の3人の顔を見れば何となくわかる
(俺もあんな感じの顔しとるんかなぁ)
「俺、やっぱり仲間…わかってなかったわ」
だってこんな気持ち、知らんかったもん…
思わぬ発見に少しくすぐったいような気持ちになりつつ
「て言うか、本当に聞きたいことは他にあるだろ？答えてやるよ」
といううらさんの言葉にAの方を向き直した
私の家族と知りたいことーー
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作者名：空木 | 作成日時：2019年3月1日 3時
