【金カム】愛で満たして【短編集】 (ページ9)

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この恋は盲目【鯉登音之進】ページ9

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大学生×鯉登

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「おーい、鯉登くん！こっちこっち！」

「なｯ、ちょ、ちょっと待ってくれ。」

夏の突き刺すような日照りと、海から香る潮風。ほどよく汗ばんだ体を刺激するのはこの2つだけじゃない。
私だけ、遅れて参加したサークルのBBQ。私の名を呼んでいる女子、Aの水着姿に私は悶えることしかできなかった。

「遅かったね、焼きそば終わっちゃうよ。」

「あ、ああ、すまない。」

私より幾分も身長の低い彼女。
ラッシュガードを着ていても少しだけ透ける肌色と、豊潤な胸元。目のやり場に困って目を見て話すことすら叶わなかった。

「体調悪いの？なんか元気ないね。」

なんか飲む？炭酸かお酒しかないけど。

そう付け加えて氷が多く入ったクーラーボックスを漁るA。
正面のAも私に背中を向ける彼女も釘付けになってしまうほど、私は虜だった。

「いや、違うんだ。その…、ちょっと夏バテ、いや恋煩い、」

「ん？夏バテ？日陰入って、冷やしてなよ。」

はい、とロング缶の酎ハイを渡される。

「 …はあ、参った。」

俺は今、きっと周りが見えていない。それくらいにAしか目に入ってこない。
ずっと目で追ってしまうんだ。

真夏の太陽なんて比じゃないくらい眩しい彼女の笑顔に、俺は目眩がしそうだった。

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「結局全然食べなかったんだね、鯉登くん。」

「 ⁈…あ、ああ。食欲が湧かなくてな。」

「一人で帰られる？家まで送って行こうか？」

「いや…、そういうわけじゃないんだ。」

解散後、一人でビーチから帰ろうとしたところ後ろから話しかけてきたのはAだった。
残った酎ハイやビールをレジ袋片手に抱えて、走ってくる姿はなんとも愛らしかった。

「変なの…。私、今日鯉登くんに会えるから楽しみにしてたのに。」

「キエエｯ、い、今、なんて…？」

「だから、会えるの楽しみにしてたんだってば。バーベキュー終わった後も二人で飲もうかと思ってこんなに持ち帰ってきたのに。」

そう言って、私の空いた手に自身の手をくっつけてくるA。
私はどうにでもなれと思いながらその手を握った。

「 …私も、今日Aしか見えてなかった。その、緊張しすぎてちゃんと話せなかった。」

「あはは、シャイボーイめ。」

続きは、二人だけで楽しもっか。

悪戯っぽく笑う彼女に俺は今にでも飛びつきたかった。

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